【第3話・ある居酒屋での出来事】
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■□ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学 【 マトリックス通信 】
■■ Vol.294 2012/05/17
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MQ会計をマスターすると会社は儲かるんですか?
以前、こんな質問を受けたことがあります。
○ MG研修に参加するとうちの会社、良くなるんですか?
○ 決算書が読めるようになると業績が良くなるんですか?
○ コンサルタントに依頼すれば資金繰りが良くなるんですか?
という質問と一緒です。
もちろん、そんなことはありません。
これからご紹介するのは
『原価を下げるとどうなる?ある居酒屋での出来事』
世のなかの常識では、
「原価を下げれば利益は増える」です。
しかしMQ会計で考えれば「原価を増やして利益を増やす」
という発想もできるようになります。
MQ会計のよさは、
○ 会計データを使って現状をわかりやすくする
○ 社長にとってこの先がわかりやすくなる
です。5つの要素(P・V・Q・F・G)で考えるから
未来がわかるようになるのです。
○ MQ会計を知らなくてもMQは増やせる
○ MQ会計を知っててもMQは減る
という内容を【行間】から読み取ってほしいと思います。
そして、店員の対応や電話の対応、何気ない心配り、、、
これらも、結果的にMQに反映される重要な要素だと思っています。
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■関東方面へ出張中の出来事です。
戦略MQ会計の【応用編】がそのまま使えそうな事例に出会いました。
仕事が終わって駅へ向かう道すがら、ふと目にとまった居酒屋の看板。
○生ビール 390円
○一品料理 280円から
そして、入り口のメニューを見ると
「おっ安い!」
でも、居酒屋のチェーン店ではないようです。
■翌日の打ち合わせもあるので
さっそく中に入りました。
二人用の席に座ろうとすると
「お客さん、こちらへお座りください」
半ば強引に誘導されます。
10人以上が座れるような大きなテーブル、
話がしやすい席を選ぼうとすると
「お客さん、『ここ』と『ここ』にお座りください!」
座席は完全に「指定」されてしまいました。
来た順番に奥から詰め込まれる、
といった感じでしょうか。
○とりあえず生ビールの「中」を二つ
■メニューを見ると
うまそうな一品料理の写真が載っています。
そして金額も、、、
ほんとに安い!
「すみませーん。
ねぎまみれひとつ、冷やしトマトひとつ」
どちらも280円です。
まもなくビールが来ます。
「とりあえず乾杯!」
しかし、なんか、変な感じです。
ビールの容器がどうみても小さいのです。
明らかに【小】のジョッキ。
ところが、、、
そのあと運ばれてくる料理は、、、
なんと、、、
■そんなことは、もちろん知る由もなく
追加料理を頼みます。
「すみませーん。
豚の角煮(380円)ひとつ、XX刺身(380円)ひとつ」
さほど広くもなく、狭くもない店内で
働いている人は全員が「おばちゃん」です。
それも結構「高齢者」の方たち。
チェーン店の居酒屋は若い人が多いのですが
ここはどうやら違う世界のようです。
さて、いよいよ料理が運ばれてきます。
まずは「ねぎまみれ」
メニューを見たとき
「ねぎ」の二文字に目が奪われました。
「青々としたねぎ」がおいしそうに写っています。
ねぎまみれ、初めて聞く料理名です。
ところが、目の前にある「ねぎまみれ」、
なんか雰囲気が違うのです。
■そして「冷やしトマト」の登場です。
これもどこか雰囲気が違います。
しかし金額はどちらも280円。
まずは「ねぎまみれ」の試食です。
やっぱり、なんか違うのです。
そこでメニューの写真と見比べてみました。
メニューでは「青々」としているのですが
目の前の「ねぎまみれ」は「白々」としているのです。
よーく見ると、、、
なんと、、、
ねぎではなく
【もやし】
だったのです。
ねぎはほとんど入っていません。
■そして、ついに、、、
「おばちゃーん
ちょっと、ちょっと、
これがどうして『ねぎまみれ』なのですか?
『ねぎ』なんか、どこにも入ってないでしょ。
どう見ても『もやしまみれ』じゃないですか。」
おばちゃんは、
その「ねぎまみれ」を厨房にもって行きました。
何かを話合っている様子、
ところがいつまでたっても
何の対応もありません。
仕方なく、運ばれてきた「冷やしトマト」を食べてみました。
でも、やはり、なんか、違うのです。
よーく見ると
トマトがとにかく「薄い」、
1.5ミリから2ミリくらいの厚さです。
そして、切られたトマトをひとまとめにしてみると
大きさが四分の一しかありません。
薄く切ることで
量が多いように見せかけているわけです。
■もう一度、メニューの写真と見比べてみました。
メニューでは、
いかにもおいしそうに【肉厚】に切られ【1個】のトマトが
皿に【きれいに】盛り付けてあります。
「おばちゃーん
ちょっと、ちょっと、
このトマト、
メニューの写真とぜんぜん違うでしょ。」
「メニューでは1個なのに
どうして4分の1なんですか。
どうみてもこれはおかしいでしょ。」
■その後、いつまでたっても
「ねぎまみれのクレーム」に対する
返事がありません。
おそらく、
責任者は顔を出さずに
店員のおばちゃんに、
つまり現場に
【その場を何とか解決する(取り繕う)ように】と、
もめていたのではないでしょうか。
「追加の料理はキャンセルしてください。」
もうこれ以上、この店にいる気にはなれません。
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■では、今回の状況を整理してみましょう。
○店頭のメニューを見て価格が安いので中に入った。
○メニュー(カタログ)を見て注文した商品が
表示(写真)と大幅に異なっていた。
○店員にクレームを言ったが
厨房に行ったきり一向に来る気配がない。
そしてこの店の店長はお客の前に出てこない。
○客は怒って店を出ようとした。
○それでもなんのアクションも起こさない。
■飲食店に限らず、
お客を無視したコスト削減は、結果的に利益を減らすことになる
ということを、この店の経営者はわからないのです。
○原価を下げると利益は増える
○原価低減、コスト削減
もしかしたら、
大変なことになるかもしれません。
「ねぎまみれ」が「しゃっきんまみれ」になる前に
経営者の意識が本当に【お客】のほうを向いているかを、
もう一度、考え直さなければならないようです。
■伝票を持ってレジに向かいました。
レジにもおばちゃんがいます。
「ずいぶん対応が悪いですね。
経営者の方はどなたですか?」
なんとレジにいるそのおばちゃんが【経営者】だったのです。
そして、隣には
まだ若い男性が【黙って】ポツンと立っています。
おそらく息子かもしれません。
○果たしてこの店の運命はいかに、、、
ある居酒屋での出来事でした。
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○原価(コスト)を下げれば利益が【増える場合もある】
○売上が増えれば利益が【増える場合もある】
「原価を減らすと利益は増える!」は、今の制度会計の常識。
しかしこの先、儲け(利益)を増やそうとする場合、
これまでの会計の常識は通用しないということを
感じていただければと思います。
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