【建設業の決算書を考える】
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■□ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学 【 マトリックス通信 】
■■ Vol.333 2013/12/10
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》 新しいものの創造は過去の否定からはじまる
斬新なアイデアは過去の常識を取り払うことで生まれる
■11月29日(金)の広島での「利益が見える戦略MQ会計セミナー」に
建設業の若手社長が参加されました。
決算書からMQ会計表を作成するという内容です。
建設業の方の参加をお断りしていたセミナーですが、
どうしても、、、という熱意に負けて参加していただきました。
建設業会計で作成された決算書からは
短時間でMQ会計表が作れません。
それだけ収益構造がわかりにくいのです。
最大の原因は「未成工事支出金」勘定にあります。
工事が完成するまで、工事に掛かった原価と経費はすべて
この勘定科目で処理するのですが、
そこで問題になるのが、
いろんな工事に共通して掛かる間接経費をどうするか、です。
彼のメールには次のように書いてありました。
●おはようございます。XX県で建設業を経営しています。
メールでの問合せに「製造業の思考で学べば」との
アドバイスをいただきましたので
11/29に広島で開催されるセミナーに申し込みをさせていただきます。
今日のブログ(※注)の内容は切実に悩む所です。
セミナーに参加し、日々のモヤモヤを解消したいものです。
●最近、各地の研修に参加していますが、
「建設業で戦略MQ会計を導入したい」という話をすると、
「それは難しいですね」と言われ、一緒に悩んでくださるのですが
なかなか前に進みません。
広島での出会いを楽しみにしております。決算書も持参します。
よろしくお願いします。
※注)2013年11月19日号のメルマガ「建設業の決算書からは・・・」
のことです。
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■セミナー当日、
ご持参いただいた決算書を見ると、、、
想像どおりの「建設業会計」で作られた決算書です。
セミナーのなかで彼に質問しました。
「現場監督の携帯電話料は、
もしかして、各工事に【配賦】していませんか」
帰ってきた答えは予想どおり、
「はい、XXの比率で毎月各工事原価に【配賦】しています」
社員の給料も現場ごとに振り分けているのです。
ということは、
工事が完成するまでは、
社員の給料や社会保険料など
すべて「未成工事支出金」という資産科目、
貸借対照表に計上され、経費にはなりません。
■現場監督の携帯電話料金を各現場に配賦するという行為は、
販売サービス業において、営業マンが使う携帯電話料を、
電話をかけた得意先ごとの売上原価に入れるのと同じです。
販売業では、配達のためのガソリン代を
得意先ごとの売上原価になど入れません。
これらは「期間費用」なのです。
原価は販売した商品の仕入分だけです。
売上が増えれば電話料金が増えるのは当たりまえ、
固定費は変動するのです。
建設業会計における【配賦】という行為(※ は、
せっかくの会計情報を経営に使えなくしてしまいます。
MQ会計では【配賦はするな!(※ 】です。
※)配賦という行為は建設業や製造業だけに限ったことではありません。
ホテル旅館業、レストランや居酒屋などの飲食店、ソフトウェア開発
など、製造業以外の業種でもフツーに行われています。
そして経理部は【どのように配賦するのが正しいのか】の
議論をしてしまうのです。
※)配賦は期末に報告用の決算書を作るときにのみ行います。
建設業会計で作成された決算書からは、
うちの会社は毎月、あるいは毎年、
いくら人件費がかかるのかが【わからない】のです。
ということは、来年の計画を立てる際、
人件費はいくら掛かるのか、掛ければいいのかを
利益計画にどうやって盛り込めばいいのでしょうか。
過去の実績すらMQ会計表に落とし込めないのですから、
社長にとっては、とても重大な問題です。
■多くの二代目社長は悩みます。
先代からの志や理念を引き継ぎ、創業者が築いた伝統を守りながら、
新しいことにも挑戦していかなければなりません。
自分よりも年が上の社員たちからは先代の社長と比較され、
業績が悪くなれば「ボンクラ二代目」といわれ、
そのなかで、もがいていくことになります。
そして、、、
経理部門(システム)の改革、、、
ところがここでまた問題が発生します。
社長が経理改革を行おうと提案しても、
これまでのやり方が正しいと信じて仕事をしている
経理部の人たちが【わかってくれない】のです。
社長は改革したい!
社員は「社長、どうしてわざわざ変更する必要があるんですか」
これが、MQ会計を会社に導入しようとしたときに
起きる【現象】です。
■セミナー終了後に彼に聞いてみました。
このセミナーに参加されたきっかけは、なんだったんですか?
とても興味深い答えが返ってきました。
機会があれば紹介したいと思います。
MQ会計は建設業にとって、最適、ピッタリのシステムです。
しかし、建設業会計という大きな【壁】が目の前に立ちはだかっています。
この壁を乗り越えるのか、あきらめるのか、
それは社長自身が決めることです。
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