【利益計算の根拠を考える事例2つ】
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■□ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学 【 マトリックス通信 】
■■ Vol.345 2014/04/24
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3月26日に東京で開催した
『会計人のための利益が見える戦略MQ会計【プロフェッショナル編】』
にも参加され、MQ会計を現場で実践されている税理士のTJさんから、
メールをいただきました。
●宇野さん、おはようございます。
ある税理士のホームページです。
このようなことを関与先企業にアドバイスしていると思うと、
とても驚きで残念です。
(ホームページより引用、一部要約しています)
「簡単に値引き、してませんか?」
当事務所では、小規模企業の経営改善計画を策定するための
お手伝いをしています。
利益を増やための大原則、それは、
1.固定費を減らす
2.粗利益率を上げる
3.売上を増やす
たった3つだけです。
1の経費の削減と3の売上アップのためのアイデアは
比較的出やすいのですが、
問題は「2.粗利益率を上げる」です。
手っ取り早いのは「仕入れ単価を下げる」です。
しかしこちらの仕入は、仕入先の売上です。
すんなりとは応じてくれません。
ということは、
自社で行っている「値引き」を見直さなければなりません。
ここでもう一度考えてほしいことは、
「得意先から値引きを要求されて、簡単に応じていませんか?」
「値引きの見直しで粗利益率1%アップはできませんか?」
ということです。
値引きを減らすことで1%の粗利益率を改善すれば
・売上1億円の場合は100万円の利益アップ
・売上5億円の企業では500万円の利益アップ
につながります。
会社は利益がないと継続できません。
売上アップは目的でなく手段です。
「値引き」はけっこう見落とされがち。
たとえば社内ルールで値引きの範囲を決め(3%までとか)、
それぞれの役職で値引きの決裁枠(部長はいくらまで等)
を決めておかないといけませんね。
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次に紹介する事例も
『会計人のための利益が見える戦略MQ会計【プロフェッショナル編】』
に参加された税理士TTさんからいただいたメールです。
●宇野さん、先日東京でのプロフェッショナル編に
参加させていただいた税理士のTです。
ある税理士が書いた本を読んでいたら、
とても気になる部分を見つけました。
この本に書かれていることに、大いに疑問を感じます。
※注)Tさんのメールには疑問に思う部分と根拠が示されています
(その書籍の一部を引用、要約しています)
あるスーパーマーケットで、
利益アップのために販促セールを企画しました。
商品は今回新発売する「缶ジュース」です。
定価は1本100円、仕入れ値60円。
社内で検討した結果、2つの案が出ました。
<A案>
缶ジュース5本を1セットにして、定価の15%引きで売る。
<B案>
缶ジュース6本をセットにして5本分の定価500円で売る。
「5本買うと無料で1本ついてくる」という商品構成、
結果的に600円の商品を16.7%offの500円で販売する。
この場合の比較のポイントは
「缶ジュース1本あたりの販売価格」です。
なぜなら、仕入れ値はA、Bどちらも同じだからです。
A案では「100円×5本=500円」の15%引きなので売値は425円、
1本あたりに計算すると「425円÷5本」で85円 です。
したがって1本あたりの粗利益は85円-60円=25円、
粗利益率29.4%となります。
では、B案の場合はどうでしょうか?
売値は「100円×5本=500円」、これに1本おまけがつきます。
1本あたりの売上は「500円÷6本」で83.3円です。
したがって1本あたりの粗利益は83.3円-60円=23.3円、
粗利益率は28%になります。
1本あたりの販売価格は「売上総金額÷販売総数量」で求めます。
ですから、おまけで付けた分も計算に入れなければなりません。
さて、あなたがこの店の店長だったら、
A案、B案どちらを選びますか?
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■今回メールをいただいたお二人の税理士は、MQ会計を学んでいます。
通常、見過ごすような事例でも、
MQ会計に置き換えて考えると「えっ?」という部分に気が付きます。
会計で考えれば当たりまえだと思っていることが、
「おかしい!」と気付くのです。
とくに2番目の問題、
MQ会計で考えると「ものすごく奥が深い問題」です。
ご自身のMQ会計に対する理解度、経営への活用度合いが測れ、
この先の利益を考えていくうえでも【ものすごく良い問題】だと思います。
そして、
「税理士の方たちにこそMQ会計の本質を学んでほしい!」
と感じました。
税理士Tさんのメールにもあったように、
この文章を読むかぎり、たしかに誤りも含めて疑問が生じます。
MQ会計ではこれをどう考えればいいのか、
読者のみなさん、ぜひ、挑戦してみてはいかがですか。
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