【売上高と言うから儲からない!という話】
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■□ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学 【 マトリックス通信 】
■■ Vol.355 2014/09/04
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■MQ会計を発明考案された西順一郎先生の数ある著書のなかに、
『戦略会計入門』という本があります。
サブタイトルは「売上高は役に立たない」。
序章の第1話、「ある社長の錯覚」に、真っ先にクイズが出てきます。
「固定費5円増えると必要売上増はいくら?」
そしてこのクイズの解説には、
○「売上高利益率」は使ってはいけない指標
○ 使ってよいのは4つの比率
○ 経理マンは "率" が好き
・
はじめてこの本を読んだときに、
ゾクゾクっとしたのを覚えています。
そしてそのあとに、「ある靴屋の失敗」という話が続きます。
ちょっと引用してみます。
<ある靴屋の失敗>
第2話は、「ある靴屋さんの失敗」という話である。
このへんから、だんだんと『戦略会計』用語解説のほうに
入っていくことにしよう。
以前、関西方面の靴屋組合で聞いた話である。
婦人靴というのは、上級品と中級品と廉価版の3種類からできているという。
2、3年前にそのように聞いたので、東京の靴屋さんにも聞いてみたが、
関西のほうでは確かにそうだったと言っておられたから、
あながちウソではないらしい。
女性の靴は、ある時期、上級品は2,980円、廉価版のほうは980円、
普通が1,980円というように、丸めて言うと1,000円、2,000円、3,000円の
3種類のプライスゾーンに設定した企画を一時やった ということである。
ここでは、それをネタに使って、
『戦略会計』の勉強をしてみることにしよう。
(以上、引用終り)
そして、
・あなたなら幾らに設定する?
・「P」と「Q」
・「PQ」は売上高
・「MQ」の登場
と続きます。
※)この書籍が出版されたのは1987年です。
当時はまだ「MQ会計」ということばは存在していません。
「戦略会計STRAC(ストラック)」の時代です。
■何を言いたいか、というと
この本のサブタイトルのように、「売上高は役に立たない」
そして、「PQ」はけっして売上高の記号ではない
ということです。
では、なぜ「売上高」と漢字で書いてはダメなのか?
私が以前、会計事務所に勤めていたころ、
期首から決算期末までの12か月間、各月の売上高を棒グラフにしたものを
毎月、月次試算表と一緒にお客(関与先企業)へ送っていました。
各月には3期分、つまり前々期、前期、そして当期の売上高の棒が
3つずつ並んだ、よくあるパターンのグラフです。
当時は、計算センター(TKC)から試算表が送られてくるのですが
そこに売上高の棒グラフが(勝手に)付いてきていました。
■当時は何も考えずに、
「お客へただ送りつけていた」という感じでしたが、
いま思えば、
あのグラフは、いったい何を言いたかったのか、
いまごろになって、疑問がわいてくるのです。
私がいま、このグラフをもらう側の企業(社長)だとすると、
「ふーん」
「だからなんなの?」
というように感じます。
このグラフは何を言いたいの?
「売上が重要だ!」ということを言いたいの?
各月の3期分を比較させて
落ちているのか、横ばいなのか、伸びていることを伝えたいのか、
まだ安心だ、あるいは、そろそろヤバイんじゃない
ということを伝えたいのか、
ほんと、いまごろになって大いに疑問に思うのです。
■「売上が増えると利益も増える」と思っている人は、
売上高を増やそうと努力します。
そしてその棒グラフを見て、
棒の高さを高くしようとします。
その結果、
「棒が高くなった、売上が増えた!(うれしい)」
あるいは
「棒が低くなった、売上が減った、ダウンした(なんとかせんといかん!)」
「昨年より10%売り上げが落ちた、たいへんだ!」
と思うのか、
ようするに、
このグラフは何を言いたかったのか、です。
■MQ会計では売上高とは言わずに「PQ」と言います。
「PQ」とは販売単価Pと販売数量Qを掛けあわせたもの、
PQとは「P×Q」。
中学校1年の数学で習います。
[×]の記号は省略してもいいよ、と。
だから「P×Q=PQ」
私は「PQ」になれてしまっているので、
「PQってP×Qの面積なんだよなぁ」
売上高の棒グラフを見るたびに違和感を覚えてしまいます。
「やっぱり、売上を伸ばせ!という発想しかでないよなぁ」
売上を増やそうと思うなら、
「伸ばせじゃなく広げろ、だよなぁ」
「伸ばすんじゃなくて、どうやったら広げられるかを考えるよなぁ」
と思う今日このごろです。
※)『MQ会計』は、これを考案開発された西順一郎先生の会社、
株式会社西研究所の登録商標です。
P、V、M、Q、PQ、VQ、MQ、F、G は
西順一郎先生の著作物です。
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