Vol.454「カネ勘定」について考える

MQ会計セミナーやMG研修で一貫して言ってきたこと、それは、
 
「考える力・創造力」についてです。
 
税理士も社長もコンサルタントも、
学ぶことに前向きな人たちはたくさんいます。
 
ところが、「考える力、創造力(想像力)」が育っていないと、
学んだだけで、その先が一向に進まないのです。
そしてもう一つ、現象となってあらわれてくるのが、
「テクニックや手法を求めたがる」
「安易に答えを求めようとする」
 
です。
 
思考力、創造力が身についていない人は、
その人の質問の内容に出てきます。
聞いたことを自分のものにする前に、
自身の脳みそを通さないまま安易に質問しようとします。
言葉尻、単語に対して反応するのです。
 
もちろん、内容や意味についての質問は大歓迎です。
本当の意味で答えに詰まってしまうような質問も大歓迎です。
 
何年か前に、セミナーの参加者から次のような質問が出ました。
 
「MG研修に参加し、MQ会計も学んで、
 試行錯誤で会社に落とし込んでいる。
 ところがどうしてもこの部分がしっくりこない。」
 
といって、具体的な現場の事例を使って質問してくるのです。
 
こちらもうれしいかぎりです。
 
「こういう方法もありますよ。
 基本からこう考え直してみればすっきりしますよ。」
 
というような答えをしたくなります。 
 
ところが、???というような質問もあります。
 
たとえば、
 
セミナーのなかでは、具体的な事例をいくつも話すのですが、
自分の業種には関係ない、と感じる人は、
「もっと具体的な事例が聞きたかった」と反応します。
かといって、自分の業種に置き換えての具体的な質問もしてきません。
まさに思考力と創造力(想像力)が乏しいのです。
 
「MGを100期やりました。
 具体的にどう経営に落とし込んでいくか悩んでいます。」
 
この手の質問がほんとうに多いのには驚きます。
何のためにMGをやっているのか、
答え詰まってしまうような質問です。
 
普段からじっくりと考え創造力を働かせる習慣が身についている人は、
MQやMGにかぎらず、
その背景にあるものまで考えます。
自分に置き換え、会社の環境に置き換えながら具体的に考えるのです。
本を読んで学ぶことにおいても一緒です。
 
とくに税理士やコンサルタントという社長方に伝えていく立場の人は、
社長たちに知識や手法を教えるだけではなく、
「社長たちと一緒に成長するんだ、育つんだ!」という気持ちをもって
接してほしいと思います。 
 
それが、志や想い、情熱につながっていくはず。
税理士やコンサルタントと企業との信頼につながると思っています。
 
               ・
 
企業が日々、多大な手間と時間をかけて行っている「税務会計」を、
「経営のための会計情報」としてどう活かしたらいいのか、
私の中で見えてきているイメージ、
「カネ勘定とカネ儲けの融合」をどう伝えたらいいのか、
考え続けてきました。
 
「カネ勘定」とは、税務会計のことです。
「カネ儲け」は、経営です。
 
多くの社長方は「カネ勘定(会計や決算書)」は苦手です。
税務会計となればなおさら。税務申告は税理士に任せてしまいます。
 
普段から「カネ勘定」に接していない社長は、
 
「決算書なんか見てもわからん!」
 
こうなってしまいます。
 
では、なぜ「カネ勘定(会計)」が苦手なのか、嫌いなのか、、、
理由はさまざまですが、
あるときから「カネ勘定には二種類ある」と考えるようになりました。
 
一つは「イヤイヤやるカネ勘定」、
もう一つは「ワクワクするカネ勘定」です。
 
私の会社(株式会社アイティーエス)も、年に1回、
しょうがなく「税務申告のための決算書」を作ります。
毎年その時期になると、憂鬱、「嫌な作業」と割り切って、
できるだけ手間をかけないように、やるしかありません。
 
ところが、未来を考え、この先どうしていこうかと考えているときの
「ワクワクするカネ勘定」は、文字どおりワクワクします。
 
カネ勘定自体がワクワクするのではありません。
これからやろうとする新しい未来のことを考えるときがワクワクするのですが、
それを、MQ会計の「未来を見るためのカネ勘定」で考えると
ワクワクするのです。わかりやすいのです。創造(想像)力が湧くのです。
 
               ・
 
日々会社が行っている税務会計を
「税務署と銀行のための報告用」と割り切ること。
 
そしてその税務署のために作る会計情報やデータのなかから
「経営に使えるものは何か」を明確にし、
その部分を経営に活用する
 
その部分とは
 
1.会社のF(生活費)の情報
2.資金の流れの情報
3.会計の枠組みを利用しての未来を考えるための情報
 
この3つです。
 
製造業や建設業では、Fの情報すら明確にはなりません。
たんに「固定費」という位置づけでは、この先の経営になど使えないのです。
  

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 社長のための会計学 マトリックス通信
【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
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