【月次決算書からMQ会計表を作る】
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□■ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学【 マトリックス通信 】
□■ Vol.459 2018/03/29
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■前回の続き、
◎月次決算書からMQ会計表を作る場合の疑問や問題
◎分析や解説から抜け出すにはどうするか
です。
税理士は、
月次決算書を経営に活用してもらおうと、
いろいろと試行錯誤します。
なかなか大変だ!ということを経験します。
そこでまた考えます。
そして、グラフやわかりやすい分析資料が作れるツールを探します。
・
ちょっと想像してみてください。
もし、税理士であるあなたが、
税理士ではなく、まったく異なる業種の社長だったとしたら、
毎月関与先に提供している月次決算書にどう反応するか、どう感じるか、
どう経営に活用したいか。
・
◎月次決算書という【A3用紙2枚】に対する視点や感覚がそもそも違う!
これまでMQ会計のセミナーやMG研修をやってきて気が付きました。
MGやMQを現場で実践している人とそうでない人に、
同じ月次決算書を見せた場合に、
見るポイントや分析に対する考え方が大きく異なります。
それは、
この先、会社をどうしていくかを考えるとき、
あるいは、ほかの人にアドバイスするとき、
・売上を上げたら、、、
・原価率が高いね、、、
・人件費がかかりすぎですよ
・在庫が多いですね、、、
などとはけっして言いません。
どうしたらMQ>Fになるのかを考えようとします。
・
世のなかであたりまえのように言われている3原則、
1.売上を上げろ
2.原価(率)を下げろ
3.経費削減
これをゲーム(MG)のなかで試してみるとどうなるのか!
高い確率で、会社は倒産路線まっしぐら。
それを体験できるのが2日間のMG研修、経営シミュレーションです。
経営のアドバイスを行う立場にいる税理士やコンサルタントの方たちは、
少なくとも、続けて3回は参加してほしい。(もちろん社長方も大歓迎!)
毎回、基本から繰り返すなかで、あらたな気付き、発見、
そして考え、経営者の感覚とはどのようなものかが、見えてくるはずです。
月次決算書に対する考え方が変わるかもしれません。
■ここからは、私の体験です。
私がはじめてMG研修に出会ったのは、約30年前。
当時、TKCがMG研修を推進していたときです。
はじめて参加して、「これはわかりやすい!」
マトリックス会計とMQ会計(当時はまだSTRAC)を使った決算、
これがとても印象に残りました。
それがきっかけで少し勉強をするのですが、
やはり会計屋、そして事務所の「一職員」。
「経営とは何か」すらわからない状態です。
それでも「これはスゴイ!何かある」ということで、
関与先に声をかけ、事務所主催で何度かMG研修を開催しました。
しかし、その先は、、、続きませんでした。
・
運命とはよく言ったのもので、20年後に、MGと再会します。
「えっつ!MGってまだあったんだ」
これが正直な感想でした。
そこから本格的に勉強をはじめ、そして研究をするようになります。
最初の1年は、
「MQ会計ってわかりやすい!」
「損益分岐点が4つもあるし、未来もわかりやすいし、、、」
そのレベルから抜け出せません。
「そのレベル」ということにすら気が付きません。
そして、ある九州の人から言われます。
「宇野さん、MQ会計さっぱりわかっとらんばい!」
最初はその意味が理解できません。
そこから本気になって、「MQのスゴサ(MQ会計ではない)」
に気がつくまでに、じつは1年かかります。
あとになって気がつくのですが、
原因は、会計を専門的にやってきて、長年蓄積してきた会計の知識、
経験、体験が邪魔をしていたのです。
いま、私のMQ会計セミナーに、
多くの税理士やコンサルタントの方々が参加されます。
彼らの質問や話を聞いていると感じます。
「当時の私と同じ状況だ!」
「それを何とかしたい!」と強く思うようになりました。
MQ会計は、変動損益計算書やCVP分析(損益分岐点分析)とは
まったく異なります。
次元が違う、といったほうが適切な表現です。
■月次決算書からMQ会計表を作るまえに、
「月次決算書」というA3用紙2枚の構造について
考えてみてほしいと思います。
会計ソフトが異なっても、多少のデザインが違ったとしても、
月次決算書の構造(しくみ)そのものは変わりません。
多くの税理士は「月次決算書の構造(しくみ)」と聞くと、
次のようにイメージしがちです。
売上高
売上原価
(売上総利益)
販売費及一般管理費
(営業利益)
・・・・・
・・・・・
私が言っているのは「会計の構造」のことではありません。
月次決算書の「物理的な構造*」の話です。
*これについては別の機会に触れてみたいと思います。
構造には「勘定科目」も含まれます。
税理士事務所に依頼している小規模な企業の社長たちは、
「消耗品費」のなかに何が含まれているのかすら興味がありません。
では、どうしたらそのA3の用紙に興味をもってもらうのか、
どうしたら勘定科目を社長自身が変えたいと思うようになるのか、
基本の部分をしっかり伝えていかないと、
いくらMQ会計表に変換しても、
社長方は、その先に疑問をもたないし、考えないし、気付かないし、
計画を立ててもしょうがないし、、、
になってしまいます。
MQ会計であっても、けっして分析や解説をしないでください。
利益が出る仕組みの本質の部分を、しっかり説明してほしいのです。
けっして、Pアップ、Vダウン、Qアップのような話ではありません。
■月次決算書(損益計算書)からMQ会計表に変換する場合の問題点を
2つ挙げます。
一つは、売上原価、
もし製造業や建設業であれば、製造原価、工事原価が含まれます。
製造業でなくても「売上原価=VQ」にはなりません。
もう一つは、勘定科目です。
MQ会計を実践していくと、いま使っている勘定科目を
社長自身がわかりやすいように変えたくなってきます。
・
製造業の場合の売上原価を見てみます。
売上原価は、以下の勘定科目で構成されています。
・期首棚卸高
・商品仕入高
・当期製品製造原価 *
・期末棚卸高 △
これが決算書に載っている売上原価の順番です。
製造業でない業種では*がありません。
ここからMQ会計に変換する場合、
じつは大きな問題があります。
MG研修に何度か参加された方はわかるはずです。
研修初日の午前中の話です。
(次回へ続く)