Vol.517 経営者意識を持つ!ってどういうこと?

今回のテーマは、
 
「経営者意識を持つ!」
 
あるTV番組を見ていたとき、
飲食店の店長が社員(部下)に向かって指導している場面が映りました。
 
「もっと経営者意識を持って!」
 
このセリフが頻繁に使われたのは、
料理を作る過程で店長が部下に細かく指示をしているとき。
「材料は無駄にするな」
「もったいない、食材はカネだと思え」
「現金を残すことを考えながら作れ」
 
きびしい口調です。
「コスト」という単語も何度か出てきます。
 
この店長にとっての「経営者意識」とは、
「コスト意識をもつ」
「ムダを省き効率よく」
「キャッシュを意識する」
ことなのかもしれない、と、この映像をとおして感じました。
 
日ごろ「経営者意識を持つ」というフレーズを
本社から聞かされ続けているのかもしれません。
私の想像です。
 
経営者意識、
経営者感覚、
経営者目線、
 
そもそも社長は経営者、
だからこのセリフは「社員に対して使うことば」
便利なことば、の割に、真意は伝わらない
 
などと思いつつ、そのときは深く気にとめませんでした。
 
            ・
 
あるきっかけから興味深い記事をみつけました。
社員、社長、コンサルタントそれぞれの立場での発言です。
 
●会社員A
 「経営者意識を持つ」とはどういうことか?
 ある著名な経営者が
 「自分が経営者になったつもりで仕事をすること」
 と経済誌に書いていた。
 私は会社で「経営者意識を持て」と聞かされ続けてきたが、
 「経営者意識とは何か」、
 これまで明確な説明を受けたことはない。
 
●会社員B 
 上司から「経営者の視点が大事」だと言われ
 そう思って仕事をしてきたが、
 大企業では、その意識を活かすことができないし、
 僕には具体的にイメージすることができない。
 ほんとうに経営者感覚に目覚めた社員は、
 会社を辞めて起業すると思う。
 
●社長のブログ
 経営者と社員は立場がまるで違いますから、
 社員が「経営者意識を持て」と言われても実感がないと思います。
 言われた社員はそれぞれ感じ方が違います。経営者ではありません。
 私は、社員に与えられた責任の範囲内で
 『自ら考え、行動して、結果を出すこと』という意味で
 社員に説明しています。
 
●コンサルタントのブログから
 社長が「経営者感覚を持て」と言い出したら要注意。
 どうしてこのことばを使っているのか、
 社長自身は考えなければならない。
 人の意見に左右されることなく、
 社長本人が必要性を感じなければ使う必要はない。
 たんなる言葉や掛け声に惑わされてはいけない。
 
             ・
 
他にも肯定的な意見から否定的な意見までさまざまです。
 
「経営者意識を持て!」
「自分が経営者になったつもりで仕事をすること」
 
と言われても、
そもそも社員は経営者って何をするのかわからない。
だから「つもり」にはなれない。
 
社員は勤務時間中が仕事をする時間だが、
社長は労働時間という概念がない。
 
社員は給料日を楽しみにするが、
社長にとっては「支払日」。
 
社員は仕事の範囲で考えるが、
社長は未来について考える。
夢の中でも考える。
 
考えて考えて、
答えの出ない未来について、
自分で答えを創り出していく。
 
もっとも大きな違いは「覚悟」。
 
社長は社員の成長を望み、
社員とその家族を守る責任があるが、
最悪は、、、家屋敷を取られる。
 
 とは言ってみたものの、
 
社員が自ら「経営者意識を持つ」ことには
私は十分に意味がある、と思います。
 
本人が「意識しはじめる」、ということは、
その人の仕事観を高め、仕事全体を見る目を養い、
自覚するようになり、「自分ごと」としてとらえ、
考え方が変わり、
そして自身のスキルアップの原動力になる。
 
            ・ 
 
私が企業内で行う研修で、
はじめる前に社員の人たちに問いかけます。
 
「社長って、何をする人だと思いますか?」
 
いろんな答えが返ってきます。
 
・経営をする人
・方向を決める人
・決断する人
・会社の未来を考える人
 
・仕事を取ってくる人
・お客に謝りにいく人
・指図する人
・銀行に頭を下げにいく人
 
そして
 
・給料をくれる人
・イイ車に乗っている人
・ゴルフばかりしている人
・会社の中で一番エライ人
・給料が高い
・接待係
 
「じゃあ、2日間、社長の役を演じてみよう!」
 
現場で働く社員の多くは、
自分が勤めている会社の社長しか知りませんし、
社長の日ごろの言動から「経営者」を想像します。
 
その社長の役をやってみるわけです。
 
そこから気づくことや感じること、
参加後の感想はいろいろです。
 
社長はこんなにたいへんな仕事をしている
 ゲームをとおしてだが感じることができた
 
資金繰りに詰まったときはゲームであってもつらい
 
ゲームでは倒産したが、これが現実に起きたらと思うと
 社長を尊敬しなければならないと思った
 
社員でよかった
 
これまでは自分の部署しか目に入らなかったが
 つねに会社全体に気を配らなければならない
 社長の仕事は意思決定の連続だということがわかった
 
実際に社長の役を演じてみると、
ことばだけではない、理屈だけでない「何か」に気づきます。
 
全体を意識する必要性を感じ、
自分ごと、として経営が身近になり、
そして自身のスキルアップ、
 
そのきっかけになるかもしれないのが、
社長の役を演じてみる2日間、それがMG研修2日間。
 
社員一人一人の能力アップが仕事観を高め、
結果的に会社の業績アップにつながる、と思っています。
 

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【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
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