会計は単なるカネ勘定であって
カネ儲け(経営)ではありません。
社長にとって興味があるのはカネ儲け(経営)であって
カネ勘定(会計)ではありません。
上記は慶應義塾大学教授の友岡賛(ともおかすすむ)さんの本、『なぜ「会計」本が売れているのか?』に出てくる一節です。この本に出会ったとき、「これだ!」と叫びそうになりました。
「利益」は会計用語です。収益から費用を差し引いた差額が会計における利益の定義です。利益を求めるためには売上がいくらだったのか、費用がいくらだったのかを記録し集計しなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、
この、売上を増やす、や、費用を減らす、は
会計の話ではない、ということです。
売上を増やしたり、費用を減らしたりするのは経営の話です。
会計の話はなにか、と言えば、それは、
売上はいくらかを計算したり、費用はいくらかを計算したりすることです。
会計は単なるカネ勘定、ということなのです。
『なぜ「会計」本が売れているのか?』(税務経理協会)より
決算書は「対外報告書」、外部へ報告するための書類です。そのため様式が統一されています。利益が出ているのか赤字なのか、財政状態や資金の流れを総合的に測定できる仕組みは、いまのところ会計以外にはありません。そこで社長たちは会計を学ぼうとします。
ところが、会計そのものが専門的で難解なルールであり、税法によって歪められた決算書に違和感をもつ社長も少なくありません。
利益は引き算で求めることができますが、経営ではとくに重要な「ほんとうの資金の動き」は、決算書からはつかめません。そこで多くの社長たちは、経営に使うための独自の経営資料を作っています。そして最近では、管理会計を導入しようとする中小企業も増えています。
経理マンや会計人、コンサルタントの中には「決算書こそ重要な経営情報だ」と思い込んでいる人たちも多く、決算書を使って企業を分析しようとします。しかし、これは誤りです。むしろ、決算書の限界を認識しなければ、活用方法を間違えてしまいます。
経理マンや税理士は決算書を作る側の人たちです。決算書を作るための知識や技術(カネ勘定)と、それを使って分析や経営アドバイスをすること(カネ儲け)は、まったく別次元の話なのです。