2 会計と決算書

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◆会計恒等式

 中学校の図書室を想像してください。

 図書室にはすでに3人の生徒がいます。途中で6人入ってきました。いつの間にか2人出ていきました。現在図書室には何人の生徒がいるでしょうか?

 この図のことを「会計恒等式」といいます。図書室の会計恒等式です。もちろん答えは7人(3人+6人-2人)です。

 会計の集計期間は大きく分けて5通りあります。日ごと、月ごと、四半期、上半期・下半期、そして年単位です。毎日集計するのは日計表。月次決算は月単位、年に一度決算がやってきます。会計は次繰と前繰を繰り返しているのです。 

 それぞれの会計恒等式には名前がついています。勘定科目です。会計は、「会計恒等式」のカタマリでできているのです。

 決算書に載っている勘定科目は順番があります。現金になる順番です。これを会計では「流動性配列」といいます。決算書を作る際の規則です。流動負債は1年以内に現金で払う順番です。

 図書室の例では「人数」でしたが、会計の単位は「円」を使います。「貨幣評価の公準」です。S.ギルマンによる「会計の3つの公準(企業実体の公準・期間計算の公準・貨幣評価の公準)」のうちの1つ。会計の公準とは、企業会計が成立する基本前提です。

 

◆決算書ができ上るまで

 会計は、本来とてもシンプルで簡単な仕組みなのですが、それでも多くの人たちは挫折を経験します。そして、世間の目は決算書に向いています。その決算書はどうやって作られているのでしょうか。決算書の正体を理解するうえで、決算書に至るまでの過程がヒントになりそうです。

 決算書を作るためにはもとになるデータが必要です。会計ではもとになるデータのことを「仕訳(しわけ)」といいます。

 この仕訳はどうやって作られるのでしょうか。仕訳は、取引が発生してはじめて記録されます。資産、負債、純資産(収益、費用を含む)のいずれかに変動を及ぼす事象が生じた場合、会計では取引が発生したことになります。ビジネスにおける取引とは意味合いが異なります。「資産、負債、純資産、収益、費用」は会計用語です。

 取引は、何らかの意思決定の結果です。意思決定がなければ会計上の取引は発生しません。

 では、誰が意思決定をしているのでしょうか?

 

◆意思決定の大半は現場で行われている

 社長だけが意思決定をしているわけではありません。大半の意思決定は現場で行われています。

・仕入れ業者の選定

・購買価格の決定

・得意先への価格設定、値引き、見積書作成、取引条件

・外注へ出すか出さないか

などなど。

 設備投資や借入など重要な部分についての意思決定は社長が行いますが、日常業務での意思決定は現場が行っているのです。そしてその積み重ねの結果が、最終的に決算書の数字に反映されることになります。会計とは過去に起きた取引を集計し、決算書を作成して報告(説明)することなのです。

 


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