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社長たちにとって悩みのひとつが「キャッシュ」です。税理士や金融機関の担当者から「社長、こんなにも利益が出ていますよ。すごいですね」と言われるが、素直に喜べないと違和感を覚える社長も多いようです。
・利益が出たけれど税金を払うカネがない
・そんなに利益が出ているはずがない
社長たちの実感でしょう。税理士に聞いても明確な答えが返ってこなくて納得できないという社長もたしかに多い。
「利益が出ているがカネがない」という現象を、税理士は親切心あるいは義務感から説明しようとします。ところが、その説明が問題なのです。核心からずれていくばかり。利益とキャッシュには相関関係はありません。
利益はでているのに会社にお金が無いのはなぜ?
・売上サイトが長く仕入サイトが短い場合の運転資金不足
・多くの在庫を抱えている場合にはそのまま資金が寝ている状態
・設備投資や店舗の保証金の支払いなども資金が固定化される
・借入金の返済が資金繰りを悪化させる
・損益計算書(P/L)には借入金の元金返済は入っていない
会計人やコンサルタントのホームページには、このような「あたりまえの説明」が多いのには驚きます。そして解決策として間接法のキャッシュフロー計算書や資金別貸借対照表の作成など、社長たちにとっては“まったく役に立たない模範解答”が書かれているのです。この状況は、私が会計を学びはじめた当時から変わっていません。
世の中にキャッシュフロー計算書なるものが現れる以前から、社長たちはキャッシュフローで考えています。
・予定している売掛金は振り込まれるのか
・来月手形が落とせるのか
・ボーナスの資金はどうするのか
・あてにしている手形はきちんと入金されるのか
これに対して税理士の頭の中はP/Lです。利益が出れば税金の計算です。「利益=課税所得」に近づければ税金の計算がしやすくなる。すでに述べたとおりです。
税理士たちは、なぜ社長がわかりやすいキャッシュフロー計算書を作れないのか!
「第4章・社長のための会計情報活用法」で解説する予定です。
「赤字が続くとどうして倒産するのですか?」
チャットGPTに聞いてみました。2024年3月時点での回答は、
資金不足:赤字状態が続くと、企業の資金が減少し、営業資金や将来の投資に十分な資金を確保できなくなる場合があります。資金不足は、必要な経費や一時の支払いに対処できなくなるため、企業の運営に深刻な影響を与えます。
「赤字状態が続くと企業の資金が減少する」と言われれば、なるほどと思ってしまいます。そこで質問を変えてみました。
「赤字状態が続くと、なぜ、企業の資金が減少するのですか?」
赤字状態が続くと、企業の資金が減少する主な理由は以下の通りです。売上の低下や収入の減少、利益率の低下などを意味します。収益の減少により、企業の資金流入が減少し、赤字を補填するための資金が不足することにつながります。
もう一度同じ質問をしてみました。
赤字状態が続くと、企業の資金が減少する主な理由は以下の通りです。売上の低下や需要の減少、価格競争の激化などによる影響があります。売上の減少により、企業が得る現金が減少し、資金が減少します。
文章を組み立てる力、表現力はすばらしい。しかし、「理論立てて答えているようでも科学的ではない」、というのが私の感想です。たしかに、売上の低下は資金減少につながります。ところが、売上が減ったのはなぜなのか、何が問題なのか、決算書からはわかりません。
企業の取引は「現金完結」です。払うのも貰うのも、最後はすべて現金です。それが途中で絶たれた場合、その先の現金への道が閉ざされた場合、企業の存続に影響するような金額であれば、そしてそれを補填する資金を調達できなかったとしたら、最後は倒産です。
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