マトリックス通信 Vol.487【「損益分岐点売上高」と「利益感度分析」】

 
■利益感度分析からは、
 「かりにこうすればこうなる」という値は計算で求めることができますが、
 私は好きではありませんでした(嫌いでした)。
 
 MQ会計セミナーやMG研修でも利益感度分析の講義は避けてきました。
 過去のメルマガに登場したのはたった1回だけです。
 なぜなら「率」の話だったからです。
 
 ※ただし、全体の傾向を掴むうえでは役に立ちます。
  利益感度分析を活用した事例が、
  「利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)」の210ページに載っています。
  参考までにご覧ください。
 
 ある1冊の本がきっかけで、
 利益感度分析をもう一度深く考えてみようと思い、
 今回このメルマガであえて挑戦することにしました。
 
               
 
 管理会計では、損益分岐点分析を行う際に「変動損益計算書」を使います。
 
 「変動損益計算書」とは、損益計算書に記載された費用を
 「変動費と固定費」に分解して作成した損益計算書です。
 
 
  <A社の変動損益計算書>
 
    売 上 高 1000
    変 動 費  600 (変動費率:60%)
   -------------------------
    限界利益   400 (限界利益率:40%)
    固 定 費  450
   -------------------------
    利  益   ▲50
 
 限界利益=売上高-変動費
 利益=限界利益-固定費
 
 
 一般に「損益分岐点」といえば「損益分岐点売上高」のこと、
 利益がちょうどゼロになるときの売上高です。そしてその公式は、
 
 損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費÷売上高)
 
 この式にA社の数字を当てはめると
 損益分岐点売上高は1,125万円 。
 もしこれが試験問題だとすると、これ以外の答えは不正解です。
 
 
 
■売上高は、得意先(お客)と提供する製品や商品、サービスの
 組合せの合計です。
 
 現実には1000万円がひとかたまりで存在するわけではありません。
 
 100万円の商品が10台かもしれないし、
 1000万円の工事が1件だったかもしれません。
 その組み合わせは無限です。
 
 いずれにせよこの問題の答えは、
 「あと125万円売上を増やせば利益は0になる」です。
 
 肝心なのは、この125万円の中身です。
 
 損益分岐点分析では、売上の中身(組合せ)には言及していません。
 
 125万円の売上1件でもいいし、
 12万5千円の売上10個でもOKです。
 
 ただし、条件があります。
 
 全ての売上の変動費率が60%であることです。
 ということは、
 全ての限界利益率を40%にしなければならない。
 
 あるいは、
 
 変動費率も限界利益率もまちまちでかまわないが、
 合計したとき、つまり125万円になったときの
 全体の変動費率は60%(=限界利益率40%)でなければなりません。
 
 MQ会計に置き換えると、
 
 「PダウンでもQアップでもなんでもかまいませんよ。
  ただし、全体のm率を40%にしてくださいね。」
 
 となるのです。
 
 
 
■利益感度分析の話に戻ります。
 
 そもそも変動損益計算書では利益感度分析はできません。
 なぜなら
 
 「変動費=VQ」とはかぎらない
 「固定費=F」とはかぎらない
 
 そして「経常利益=G」とはかぎらないからです。
 
 かりに、この3つがすべて一致するという条件付きで
 (実際にはできないのですが)
 むりやり損益分岐点を計算すると次のようになります。
 
 Fk=11.1%
 Qk=12.5%
 Vk=8.3%
 Pk=5.0%
 
 MQ会計は要素で考えるので損益分岐点は4つあります。
 この「指標(%)」を利益感度と言います。(kは感度のこと)
 
 管理会計では「損益分岐点売上高」と言いますが、
 MQ会計には損益分岐点売上高は存在しません。
 必要なときにP×Qで計算できるからです。
 
 なぜ、私が「利益感度分析」が嫌いだったのか、
 たんに【率】だから、というのもありますが、
 考え続けているうちにその理由(なぞ)がわかってきました。
 
 利益感度分析は、ほんとうに実務で使えるのか! 
 理屈だけではないのか!!
 
 (続きは次回)
 
   

 

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