社長のための建設業会計講座5

 

利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)

の著者が伝える「社長のための建設業会計講座5」


いまの建設業会計では、この先の手が打てない!

翌期の計画を立てたいけど「未成工事支出金」が邪魔をする

もっとわかりやすい会計はないのですか?

「工事ごとの原価をきちんと把握しなさい」と税理士から指導を受けたが

  経営の実態を把握する方法として理にかなっているのでしょうか? 

 

そんな建設業会計に疑問をお持ちの社長さん方に、ぜひ読んでいただきたいサイトです。


建設業の原価計算

建設業を営むAさんが、税理士から受けたアドバイス、

 

(1) 付加価値を基準とした経営をする

(2) 各工事の原価管理の徹底

(3) 社内労務費、社内機械使用料等の基準額を決め実行予算を組む

 

今回は(2)と(3)について考えてみます。

Aさんのメールには「各工事の原価管理の徹底」とだけしか書いてありませんが、

 おそらく、「建設業会計に則った処理をする」ということだと思います。

 

そのためには、多くの建設業が行っている

「社内労務費と社内機械使用料などの基準額が必要」という結論になると思います。

 

建設業の原価計算に関するある文献に、次のように書いてあります。

 


 

<機械費の基本的な計算について>

 

 1.機械費は、その取得形態を問わず、個々の建設工事において使用され

  た程度に応じてその損耗分を集計し、以下の区分に従い当該工事の建

  設工事原価(機械費)とする。

 

 2.購入等によって取得した機械については、その減価償却費、維持修繕

  費用、当該資産の保有に課される租税公課、保険料を集計し、当該建

  設工事に使用された程度(日数、時間等)に応じて機械費とする。

 

  なお、その取得にともなって企業外部に支払いの発生する手数料・引

  取運賃・租税公課・保険料等の付帯費用は、当該機械等の取得価額に

  算入する。

 

 3.リース、レンタル等によって賃借する機械等については、当該賃借料

  (維持修繕費用を含む)を当該建設工事に使用された程度(日数、時

  間等)に応じて機械費とする。

 

 4.資産として計上しなかった消耗的な工具・器具・用具については、こ

  れを機械費とする。 

 

<各工事に共通する機械費の処理について>

 

 建設工事に共通的に発生する機械費は、機械作業に関わった時間等の適

 切な基準に基づいて各工事に配賦する。

 

<予定機械率(機械損料)による計算について>

 

 1.実績原価としての機械費を計算する過程において、機械費の管理等の

  目的のため、機械単価を内部的にあらかじめ定めた単価(予定機械率

  あるいは機械損料)によって計算することができる。

 

 2.予定機械率による機械費の計算を実施した場合は、適切な時点で原価

  差異(機械率差異あるいは機械損料差異)を算出しなければならない。

 

 3.機械率差異は、原則として、関係した建設工事原価に配分する。僅少

  な場合には、会計期間中の完成工事原価として処理することができる。

 


 

多くの建設業は、このような原価計算を手間ヒマかけて行っています。

Aさんに「社内機械使用料等」についてアドバイスした税理士は、

このことを言いたかったのです。

 

MQ会計で考える工事原価VQは、建設業会計で計算される原価とは異なります。

 

どうしてか、

 

利益が生まれる構造、そしてこの先の経営をわかりやすくするためです。

 

製造業における製品別原価計算も建設業における工事別原価も

当時の大蔵省企業会計審議会が1962年に中間報告として公表した会計基準がベースです。

そして残念ながら50年以上ものあいだ、一度も改訂されていません。

書店に並んでる「原価管理で利益が増える!」のような書籍、参考書は 

これを基本として書かれているのです。

 


では、どうすればいいのでしょうか?

じつは、答えはカンタンです。

 

・製造業では原価計算をやめる

・建設業では出面帳を使った人工計算をやめる

 

それだけです。

これを実行するだけで事務作業量が一気に減ります。

 

ところが多くの社長、工場長、現場監督、経理部長はやめられません。

 

なぜか、

 

・工事現場ごとの正しい原価が把握できなくなる

・経審への提出書類が作れなくなる

・製品ごとの原価がわからないと何が儲かっているのかわからない

・税務申告ができなくなる

 

「原価管理をやめる?

 これまできちんと原価を把握しようと努力してきたのに

 原価計算をするな?(ふざけるな!)」

 

せっかく培ってきたこれまでの仕組みをそう簡単に手放せません。

これまでの慣習からそう簡単に抜けられません。

いままでとまったく逆のことなど不安でできないのです。

そしてやめられない理由を延々と言いはじめます。

 

では社長のみなさん、考えてみてください。

 

業務改善や改革を行うときに

必ず反対する社員がいることを、、、

 

そしていま、それをあなたが反対していることを、、、

 

会計情報を経営に真剣に活用したいのであれば

やるか、やらないか、決めるのは社長しかいません。

 

業績のいい会社は「仕事が増えているから」だけではありません。

やるべきことをやっているから業績アップに繋がっているのです。

 

経営審査に出す書類を重要と考えるのか、

経理処理の改革を優先するのか、

それは社長が決めることです。

 



関連記事