損益分岐点への疑問(変動費の定義らしきもの)

損益分析点売上高を求めるには、

費用を変動費と固定費に分解しなければなりません。

そして変動費の「定義らしきもの」が出てきます。

 

(参考文献1)

変動費とは生産高や売上高に比例して発生する費用で、中心となるのは原材料の仕入費用や外注費用【など】。

 

(参考文献2)

変動費とは、一定の生産能力や販売能力の下で、生産量や販売量に比例して変動する費用。生産・販売が1単位増加するごとに、それに対応して増加する費用である。メーカーの場合には材料費、小売業の場合には商品の売上原価、販売手数料、運送費【など】が変動費に含まれる。 

 

(参考文献3)

変動費とは、売上高に比例して発生する費用です。仕入れた商品【など】が代表的な例です。売上が増えるほど、仕入れる商品も増えるからです。

 

(参考文献4)

売上に比例して増減するものを「変動費」といいます。商品や原材料の原価、販売手数料【など】がその例です。

 

(参考文献5)

変動費は「売り上げによって変動する経費」になります。材料費や広告費【など】、月によって経費の額が変わるものが変動費です。

 

(文献1)では「生産高や売上高に比例する」という表現を使っています。

(文献2)では「生産量や販売量に比例して変動する」という説明です。

金額ではなく「量」に比例するのが変動費のようです。

(文献3)と(文献4)では「売上高だけに比例」ですし、

(文献5)では「月によって額が変わる」となっています。

ほかにも「操業度に比例」という文献もあります。

 

紹介したのはたった5つですが、すべて説明が異なるというのは

何を意味しているのでしょうか。

 

もしかしたら、管理会計では、

変動費の明確な定義は存在しないのではないか?

 

という、損益分岐点分析の根底を揺るがすような疑問がわいてくるのです。

いつ壊れるのかわからない基礎の上に大きなビルが建っている、

という感じでしょうか。

つぎの説明を読んでみてください。

 

(製造経費に含まれる消耗品は変動費)

通常、多くの製造経費は固定費になるが、消耗品だけは変動費になる。なぜ変動費と判断するのか。荷造りテープなどの消耗品は出荷量に比例して使用されるし、ウェスは生産量に比例して使用される。工場で使用する工具類も、生産量に比例して消耗する。このような、変動的要素が強い製造原価科目は変動費扱いとなる。

 

(修繕費は変動費か固定費か)

修繕費は両方の要素が入った準変動費・準固定費。建物や家屋の修理の部分は固定費、設備の修繕であれば変動費になる。車両の定期点検や設備の定期的なオーバーホール代は固定費だ。しかし、壊れてからの修理に関しては変動費になる。

機械については、生産量の多い月ほど修繕費がかかる。生産量に比例するために変動費として処理することになる。

 

ほかにも、歩留まり損失、製造工程で発生した仕掛品の仕損じ、

残業代、金型や販売運賃は変動費か固定費かという問いに、

「いずれも変動費が正しい」との説明です。

 

「機械の修繕費と生産量が比例する」の比例は、

本来算数で使う比例関係の比例とは明らかに異なります。

生産量が増えれば、なんとなく消耗品も増えるでしょう、

という程度の説明にしか聞こえません。

なんとも強引な論理展開という印象です。

 

さらに、(文献1)から(文献5)の説明のなかには、

ある共通した表現があります。【など】です。

 

ここに、10人の税理士やコンサルタントがいるとすると、

もし、同じ決算書をもとに損益分岐点売上高を計算した場合、

出てくる答えは全部違うはずです。

これでは、損益分岐点分析をこの先の経営に使えるはずがありません。

 

おそらく、このような文章をサイトに掲載している人たちは、

それなりに管理会計の知識も経験もある人たちです。

しかし、これらの文章に欠けているもの、それは、変動費の定義です。

 

損益分岐点分析は企業の数字を扱います。言ってみれば「数学」です。

数学には定義があります。

きちんとした定義が存在するからこそ、定理が生まれ、

物理学や科学、宇宙工学にまで発展するのです。

 ●利益が見える戦略MQ会計

 経営分析の疑問・管理会計の矛盾(A4版37ページ)

 

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