Vol.331 決算書が読めるって、どういう状態のことですか?

書店には、ビジネスマンや経営者向けに

「初めての人にもよくわかる決算書の読み方」のような本が

たくさん並んでいます。

 

では「決算書がわかる」あるいは「読める」とは、 

どのような状態のことをいうのでしょうか。

 

銀行マン、投資家、経理部長、税理士、経営者、幹部社員、

それぞれの立場によって捉え方が違うと思いますが、

私、宇野寛が考えるおそらくこのようなことであろう、

という状態を列挙してみたいと思います。 

決算書が読めるとは

1.決算書の仕組みと構造がわかる 

  「資産・負債・資本・費用・収益」5つの区分がわかる

2.繰延資産、固定負債、売上原価、経常利益など、

  決算書に載っている会計用語がわかる 

3.B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)が

  どのようにして作成されるか、の過程がわかる 

4.勘定科目名を見てその科目が

  B/S(貸借対照表)に属するものなのか

  P/L(損益計算書)に属するものなのかを即座に答えることができる 

5.売上原価を求める公式がわかる

  売上原価率の求め方がわかる


6.もし、かりに、脱税や粉飾決算を行う場合に、

  辻褄が合うように決算書の金額を操作することができる 

7.使い込みや横領があったときにその途中経路を遡って追及することができる 

8.「会計の処理の仕方で利益は変わる」ということが理解できる

  会社に有利になるような棚卸の評価方法を知っている 

9.月次試算表に表示されている現金や売掛金の残高が

  実際の残高と異なるときに、原因を究明できる


10.当期がなぜ赤字になったのか、状況をつかむことができる 

11.流動比率や総資本経常利益率、売上債権回転期間などを

   決算書から求めることができる 

12.各種比率を使って企業を分析することができる

 

1から5までは会計の知識に関する内容です。

決算実務を行っている人たちにとっては、ごく当たりまえの知識です。

決算書の読み方というよりは作り方の部分です。

 

6から9までは決算書という報告書から

「企業の中身をより深く追求する」ための項目です。

税務調査官や会計事務所の監査担当者に要求されるスキルです。

 

10から12については決算書の分析に関する内容です。 

こうやって書き出してみると「決算書がわかる(読める)」とは、

 

決算書を作成できる能力

決算書の異常値を追求できる能力

決算書を分析できる能力

 

などが入り混じっていることがわかります。

 

決算書が読める、つまりある程度の分析力まで身に付けようとすれば

決算書の仕組みや会計の基本的な知識がどうしても必要になります。

「よくわかる決算書」のような本を読んだ程度では

けっして決算書が読める(活用できる)ようにはなりません。

    


   

では決算書がわかるようになると

「なにかいいこと」があるのでしょうか。

 

大企業の社員は「決算書が読める(わかる)」ことで

昇進して給料が上がるかもしれません。

あるいは、経営陣との経営の話に加わることが

できるかもしれません。 

税務署の調査官は決算書が読めないと調査ができませんし、

会計事務所では監査や決算書の解説ができません。

 

では中小企業の社長にとっては

どういうメリットがあるのでしょうか。

 

もしかしたら、銀行から融資を受けるときに、

「おっ、会計がわかる社長だな」ということで、

有利に進むかもしれません。 

税務申告のとき、税理士との会話がスムーズに進み、

もしかしたら節税のアイデアが出るかもしれません。

 

しかし、決算書の役割は企業の業績報告書であって、

それ以上でも以下でもありません。 

社長にとって決算書とは【読むもの】ではないし、

【わかるもの】でもないのです。 

  


 

 決算書に載っているのは【勘定科目と金額】だけです。 

社長が決算書を「ながめて」、

まずしなければならないのは決算期末での現状確認、

それはイコール当期のスタートの確認です。

 

当期は手持ち現金預金3千万円から始めるぞ!

売掛金は8億円もあるのか(再認識)

受取手形がいつもより多いな

 (つぶやき・減らしたいなという願望)

仕掛と製品在庫はこの金額からスタートか

 (今年はどういう生産計画でいくかの再確認)

新製品開発費はあと1年で償却が終わるのか(ひとりごと)

それにしても短期借入金は全然減らないよな

 (愚痴・どけんかせんといかんばい!)

 

決算書とは、

「今期はここからスタートなんだ!」ということを

正しく認識するための書類と考えてみてはいかがでしょうか。

もちろん重要なのは「この先どうする!」「どうしたい!」です。

 

当座比率や総資本回転率の意味がわかっても、

売上を増やす方法は思いつかないし、

将来の売上高を計算することもできません。

 

経費はある程度見積もることができても

この先、どの商品が売れるのかはわかりません。

 見込みや計画は立てられますが、

ホントに実現できるかどうかは、

「やってみないとわからない」のです。

 

だから計画は立ててもしょうがない

 

のではなく、

 

だから計画を立てなければならない

 

のです。

 

では私、宇野寛は「決算書は読めるのですか?」と聞かれれば、

決算書や試算表は確認する程度、

異常値があれば追求しますが、

「あっそ、こんなもんか」というのがホントのところです。

 

本来、会計データには経営情報が詰まっています。

なぜそうなったのか、これからどうすべきなのか、

という情報を経営に活用しない手はありません。

経営情報のなかでは最も価値のある情報であり警戒警報の役目も果たします。

 

決算間近になれば

「法人税や消費税はどのくらい納めなければならないのか」

は、もちろん気になります。

キャッシュに関わる重要な項目だからです。

 

経営者にとって重要なのは、常に【先のこと】です。

 

利益はいくら残す計画なのか

期末にはキャッシュをなんぼ残す予定なのか

社長がやりたいことを実行すれば

 期末の決算書はどんな状態になっているはずなのか

 

です。

 

会計では「利益がいくら残ったのか?」を計算することが目的ですが

経営は「利益やキャッシュをいくら残すのか!」です。

そしてそれは「会計情報を経営に活用すること」でもあるのです。

 

決算書をいくら分析しても過去は変えられない、、、が、、、

MQ会計を使えば未来が見える! 

 

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