Vol.479 やってみなけりゃわからない!?

最近、ある会社の幹部社員と話をしているなかで、
次のような話題になった。
 
部下に仕事を依頼すると
「これって、何のためにやらなくちゃならないんですか?」
 ことあるごとに聞いてくるらしい。
 
私にとって「スゴク奥が深い」テーマだ。
この何気ない会話は思考を刺激する。
創造力(想像力)を掻き立てる。
 
日々の仕事や作業で
 
「なぜ、これが必要なのか?」
 
ギモンを持つことは良いことだと思う。
それが今後の改善や改革につながるかもしれないし、
こういう意識で仕事をしている人は日々考えている。
 
ところが、
 
もし、この質問が、
 
「この仕事をすれば自分に何の得があるのか?」
 
やるかやらないかを決める判断基準が
(かりに本人に自覚がなく無意識も含めて)
「個人的な損得勘定」だった場合にはどうなるのだろうか。
 
仕事上、どうすればこれができる? うまくいく??
と悩み考えるのはあたりまえだが、
損得勘定だけで仕事をしている部下に時間と頭を使うのは大変だし、
ストレスばかりが増え、その分本来稼げるはずのMQは確実に減る。
 
「やってみなけりゃわからない!?」
 
私の思考過程(思考実験)で頻繁に出てくるフレーズ。
最後は、「やってみなけりゃ答えは出ない!!」
 
ところが、
 
「個人の損得勘定」だけで仕事をしている人(かりに部下や社員)に、
「やってみなけりゃわからないだろ!」
 
と言ったところで相手は理解できない。
 
自己中心でしか損得を考えないような社員に、
社長の理念や想い、情熱が伝わるとは思えない。
 
会計の世界でも同じことが言えるのではないか。
会計に詳しくなり、
管理会計を学び分析ができるようになると、
経営に口を出したくなる。
 
これまで学んだ知識やテクニックで
決算書をさんざん解説分析した後に、
 
「この状況を乗り越えるためには
 まず売上を増やしそして経費削減が最優先!」
 
さらには覚えたての「ROAがどうのこうの、、、」
 
「この状況を乗り越えるためにはP↑V↓Q↑F↓」
 
MQ会計を学んだとしても
こんなことを言っている以上、同じ。
 
            ・
 
利益を出す理屈を学び、頭で考えた正論に囚われて、
 
「ここが間違っているのだから、こうすればいいじゃないか」
「うちの会社は、こんなことをやっているから
 いつまで経っても業績は上がらない!」
 
偉そうに主張するのは
一部の税理士、銀行マン、コンサルタントにかぎらず、
会社に勤める社員も同じ。
 
このような発言をする傾向にある人は、
ふだんから「じゃあどうするのか!」ということを真剣に考えていない。
知識や手法に頼る「思考力や想像力(創造力)」がない人たち。
 
「じゃあ、売上を伸ばすためには、具体的にどうすればいい?」
 
と、問われると、返答に窮するに違いない。
売上をどうやって増やしていくかを日々考えている社長と、
考えていない幹部社員の違いだ。
 
かりに社長が会議で、
 
「やってみなけりゃわからないだろ!」
 
と言ったところで、けっして相手に真意が伝わるとは思えない。
 
             ・
「やってみなけりゃわからない!?」
 
私のなかでは、
このフレーズには前提条件があって、
これをやることで【ワクワクするか!】である。
達成感やモチベーションは、損得勘定以外の部分で生まれる。
楽しいと想像できなければ、やりがいなど感じられない。
 
日本の未来、会社の未来は、
「損得勘定に左右されない人たち」によって創られていくはず。
そのためにも、
幹部を含め中高年の人たちは、
次の世代のために真剣に向き合わなければならない。
 
私のなかでの「考える」という定義(意義)は、
 
『これまで経験したことがない未知の領域に対して、
 ワクワクしながら、自分で答え(道筋)を創り出していくこと♪』 
 

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 社長のための会計学 マトリックス通信
【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
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