利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)
の著者が伝える「戦略MQ会計講座」
戦略MQ会計のセミナーで「孫さんの日次決算」の話をすると
参加された経営者の方はとても興味を示します。
「わが社は、チームが一つの会社のようなものですから
リーダーが利益のことを考えて行動する。
その指数として当社が重要視しているのが「FM比率」です。」
「週刊ダイヤモンド 94.11.5」に掲載されたソフトバンクの孫さんの記事の一節です。
孫さんが、日次決算とともに重要視しているのが「FM比率」。
今回は、この「エフエム比率」について考えます。
経営はFM比率
といわれるほどに、FM比率は「利益の出る構造」そのものです。
では「エフエム比率」って何でしょうか?
正しくは「f/m比率」と書きます。FM比率でもfm比率でもありません。
最近では経営分析の本やホームページでも見かけますが、
この「f/m比率」の命名者は、
MQ会計表やMG(MQ戦略ゲーム)の開発者であり、
そして『マトリックス会計』を考案された西順一郎先生です。
では、なぜ「f/m比率」を重要視するのでしょうか。
それは「業種・業態・企業規模を問わない指標」だからです。
製造業であろうと、建設業であろうと、飲食業、サービス業などすべての業種の収益構造が
「P・V・Q・F・G」の5つのアルファベットだけで、
この先の経営、未来を考えることができるからです。
利益とは「出るもの」だと思っていませんか?
「収益(売上)-費用(経費)」が利益だと思っていませんか?
じつは、この発想が「会計の発想」なのです。
したがって「決算書」をいくら分析したところで
肝心な企業の収益構造の本質はわかりません。
利益を増やすには売上を上げるか経費を減らすしかない!
これでは科学的な経営といえません。
企業の利益Gは「粗利総額MQと期間費用Fのバランス」で決まります。
MQ>Fなら黒字、MQ<Fの状態なら赤字です。
売上高PQと利益Gには相関関係はありません。
どんな企業でも、MQがFを超えないかぎりGは出ません。
「採算がとれる」とは「MQ>F」の状態。
ですから、
チームごとに毎日MQを計算している孫さんの会社では、
昨日までの各チームの利益Gの状況が一目瞭然です。
Gは、Fを超えた瞬間から、加速度的に増えはじめます。
そしてその超える瞬間こそが「f/m比率=100%」なのです。
f/m比率は経営そのものを表す指標です。
f/m比率=F÷MQ×100
MQを分母にFを分子に置いたもので、100%未満なら利益Gが出ている状態です。
だだし、製造業や建設業ではDC(直接原価)が大前提です。
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では、1ヶ月の実稼働日が30日の場合を考えてみましょう。
fm比率が60%(A)の企業
f/m比率が60%の企業は18日目(30日×0.6)でトントンになり、
19日目以降に獲得したMQはすべてその月の利益Gになります。
fm比率が98%(C)の企業
f/m比率が98%の会社では29.4日目(30日の午前中)でやっとトントンです。
30日目の午後から稼いだMQでようやく利益Gが出るような会社です。
もし、月末に営業マンが風邪をひいて休んだら、その月は赤字です。
fm比率が120%(D)の企業
ではf/m比率が120%の企業はどうなるのでしょうか。
30日目の営業が終わった時点ではもちろん赤字です。
f/m比率が100%を超えている企業では「数量Qの必要倍率」となり、
努力目標に変わるのです。
けっして「売上高PQがあと1.2倍必要」ということではありません。
1か月がかりに36日(30日×1.2)あったとしたら・・・
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会計から導かれる「損益分岐点比率」は、単なる「結果」に過ぎません。
それも月次で締めて、数日経過してから
「先月の損益分岐点はこうでしたよ」と言われても“ときすでに遅し”です。
一週間前の新聞を見て「明日からどうする」を考えているようなものです。
詳しくは「利益が見える戦略MQ会計」(かんき出版)の172ページ、
1.利益を創り出す「日次決算」の正体をぜひ読んでみてください。