利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)
の著者が伝える「戦略MQ会計講座」
缶コーヒーを販売している会社があります。仕入原価60円の缶コーヒーを1本100円で売っています。この会社は缶コーヒーしか売っていません。当月は10本販売しました。この場合の収益構造を、MQ会計では次のように表します。
MQ会計は要素法です。八百屋さん、魚屋さん、床屋さん、飲食店、卸、小売、サービス、不動産、そして製造業であれ建設業であれ、どんな業種にでも当てはまります。これからお話しするたった5つの要素で、すべての企業の収益構造を説明することができるのです。
ではこれから5つの要素を順番に解説していきますので、じっくりとご覧ください。
①要素P:価格(プライス)
1番目の要素は缶コーヒーの価格です。
価格は英語でプライスです。その頭文字をとって「P」といいます。
②要素V:原価(バリアブル・コスト)
2番目の要素は缶コーヒーの原価です。
バリアブル・コストの頭文字をとって「V」といいます。
Mは粗利単価です。粗利のことを英語でマージンといいます。
「M」はマージンのMであり、「もうけ」のMです。
MQ会計では「M」は要素に入っていません。缶コーヒー1本の原価Vが60円だとわかっていても、価格Pが決まらなければ粗利Mは決まりません。
反対にこの缶コーヒーを1本100円で売ろうと思っても、原価Vがわからなければ粗利Mもわかりません。粗利単価Mは、価格Pと原価Vが同時に決まらないかぎり確定しないのです(Mは従属変数、PやVは独立変数)。
P、V、Mは缶コーヒー1本の単価構造を表します。これも図形で考えると、とてもわかりやすくなります。粗利Mは差額です。価格Pと原価Vが決まれば自動的に決まるため、要素には入っていないのです(P=V+M、P-V=M)。
③要素Q:数量(クォンティティー)
3番目の要素は缶コーヒーの販売数量です。
クォンティティーの頭文字をとって「Q」といいます(PとかQは経済学のことば)。
P、V、Qのたった3つの要素がわかるだけで、企業の収益構造のとても重要な部分がわかります。
売上高は「単価×数量」から成り立ちます。「売上高」は「P×Q」で表されます。数学ではPとQのあいだの「×」は省略してもよいことになっています。1本100円の缶コーヒーが10本売れた場合のPは100円でQは10本です。したがって売上高PQは1000円になります。
同様に売上原価VQは600円(V×Q)、粗利総額MQは400円(M×Q)になります(MQはPQ-VQではない)。
④要素F:期間費用・会社の生活費(フィックスド・コスト)
4番目の要素は期間費用です。
フィックスド・コストの頭文字をとって「F」といいます。
Fは会社の生活費です。役員や社員などの人件費、事務所や店舗の家賃、通信費や水道光熱費などです。ヒト・モノ・カネの経費です。この会社では月に300円かかるとします。
⑤要素G:利益(ゲイン)
5番目の要素は利益です。ゲインの頭文字をとって「G」といいます。
この会社の当月の利益Gは100円です(MQ-F=G)。
MQ会計は要素法です。
P、V、Q、Fの各要素が自在に動いて利益Gの最大化をめざします。
100円の缶コーヒーが10本売れた場合の売上高は「100円(P)×10本(Q)」で表されます。100円のタテ線がヨコに10本だけ並ぶことを想像してください。
上の図のように、売上高PQは面積です。タテ軸は価格Pでヨコ軸は販売数量Qです。「売上が増えると利益が増える」と思ている社長は「売上最大化」をめざします。
「売上を増やせ!」は「売上高PQの面積を広くせよ!」といっているのと同じです。「価格Pと販売数量Qを掛け算した結果が最大になるような組み合わせ」をめざしているのです。
MQは一般的に「粗利総額、付加価値総額、限界利益総額」などと呼ばれています。MQ会計の「MQ」は、じつはここからきています。企業がこの先利益を上げていくためには最も重要な、中心的な概念となります。
缶コーヒー販売会社の場合、缶コーヒー1本から生み出される粗利Mは40円です。当月の販売数量Qは10本なので粗利総額MQは400円になります。
PQが1000、Gが100の会社があります。
この会社のPQが1割減少したら利益Gはどうなるでしょうか?
・「MQ会計」「MQ戦略ゲーム」「企業方程式」は、
これを考案開発された西順一郎先生の会社、株式会社西研究所の登録商標です。
・P、V、M、Q、PQ、VQ、MQ、F、G は西順一郎先生の著作物です。