利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)
の著者が伝える「戦略MQ会計講座」
売上高PQは1000円、売上原価VQの600円を差し引いて粗利総額は400円、期間費用Fが300円かかっているとすると、利益Gは100円です。
ではここで問題です。
この会社の売上高PQが、もし1割ダウンしたら、
利益Gはいくらになるでしょうか。
①90 ②0 ③60 ④わからない
①は、売上高PQが10%ダウンしたので利益Gも10%ダウンして90円になる。
②は、売上高PQが100円減ったので、利益Gも100円減って0円になる。
③は、売上高PQが1割減ったのだから売上原価VQも1割減って540円になる。
そうすると粗利総額MQは差し引き360円になり、期間費用Fは変わらず300円
だから利益Gは60円になる。
④は、「そんなのわからん!」
①は、営業マンに多い解答。売上が落ちるとそれに連動して利益も減ると考える人。
②は、経営者に多いタイプ。「売上が落ちるとその分利益が減る」と思い込んでいる。
③は、経理の専門家タイプ。会計人、銀行マンなど会計を専門的に学んだ経験がある人。
④は・・・・・。
正解は「④わからない」です。ではMQ会計ではどのように考えていくのかを、順を追って解説します。MQ会計を学んでいる方は、次のように質問しなくてはなりません。
「缶コーヒーの販売数量が10本から9本に減ったのですか?
それとも営業マンが売上を確保するために1割値引きして売ってきたのですか?」
ではそれぞれの場合を、MQ会計を使って考えてみましょう。現状は次のとおりでした。
①数量が10本から9本に減少したとき(数量未達)
①の場合は販売数量が減少しました。
100円の缶コーヒーを9本販売したので、売上高PQは900円です。
売上原価VQは、60円×9本で540円、粗利総額MQは40円×9本で360円、
数量が減少しても期間費用Fは変わらないので差し引き利益Gは60円です。
売上高10%ダウンで利益は40%ダウン、缶コーヒー1本分の利益減少です。
②営業マンが10%値引きして売ったとき(数量達成)
②の場合は、営業マンが売れなくて値引きした場合です。
価格を下げて90円にした缶コーヒーを10本販売しました。
売上高PQは①と同じく900円です。
売上原価VQは60円×10本で600円、粗利総額MQは30円×10本で300円。
期間費用Fが300円かかっているので、差し引き利益Gは0円になります。
売上高10%ダウンで利益はなんと100%ダウンです。
ではさらに値引きして価格Pを1本80円で販売した場合にはどうなるでしょうか。
売上高PQが900円になるような販売数量Qは11.25本です。仮に11.25本販売したとすると、粗利総額MQは225円、Gは赤字の75円になってしまいます。
これも売上高PQは900円で同じです。まさに売上高PQと利益Gの間には、なんの相関関係もないのです。
・「MQ会計」「MQ戦略ゲーム」「企業方程式」は、
これを考案開発された西順一郎先生の会社、株式会社西研究所の登録商標です。
・P、V、M、Q、PQ、VQ、MQ、F、G は西順一郎先生の著作物です。