Vol.500【「日本はもはや教育先進国ではない」ってどういうこと】

2019年11月15日(木)

テレビ朝日 ”モーニングショー「そもそも総研」”から

(玉川)今日のテーマはこちらなんですけど。

    日本は「もはや先進国ではない」ってどういうこと? ってやりました。

    これの第2弾です、今日は。

    そもそも日本は「教育も先進国ではない」ってどういうこと、と。

(玉川)あの、、教育ですよ。

    前回もですね、私ちょっとびっくりしたんですけど、

    教育に対する投資、GDP比ね。

    43カ国中40位と。

(玉川)こんなに下なの、と。

    これじゃ先進国でいられないでしょ。

    という話をしたらですね、

    ダボス会議のメンバーもされていた

    田坂さんって方からメールが来ましてですね、

    「いや玉川さん、これだけじゃないよ」と。

    「教育の質も先進国じゃありませんよ」というふうなことで、

    投資と書いてあるけど教育の質です。

    教育の質が先進国とはいえませんよ、と。

(玉川)じゃ、どういうとこが、ってんで

    3つのポイントだって言うんですけど、

    何でしょうか? VTR。

(田坂)先進国とは残念ながら言えないですね。

    さらに大きな変化が社会全体にやってくる。

    教育先進国ですら、新たなチャレンジをしなければいけない時代に

    なっているにもかかわらず、

    日本はまだ1周遅れに追いつこうとしている状態。

    さらに2周遅れになりそうな状態だ、ということが気になるんです。

(玉川)新しい時代とはどういう時代が来る?

(田坂)人工知能の、いわゆる革命がはじまっているわけですよね。

    人工知能革命=第4次産業革命がやってくると

    教育の根本的な目標が変わってくる。

    人間としての持ちうる極めて高度な能力を発揮しないと、

    これからの人材は本当に社会に貢献できるとは言えない。

    そういう危機感をもっているわけですよね。

(田坂)日本の教育というのは、単に遅れているというよりも

    ”相当な改革”をしないと極めて厳しい時代が来ると思います。

(玉川)いわゆる教育先進国といわれる国はそういうことをわかっているんですか?

(田坂)わかってますね。

    私、ダボス会議、世界経済フォーラムのメンバーでもあったんですけれど

    も、何年もこのテーマを議論してきてOECDの参加国も

    当然参加しています。いわゆる教育先進国の識者もみんな集まっています。

(玉川)例えばどこの国なんですかね、教育先進国とは?

(田坂)例えばフィンランド、スウェーデン、ノルウェーなど

    北欧諸国の教育というのは、私は非常に参考にすべきだと思います。

(玉川)教育先進国といわれる国は日本と何が違うんですか?

(田坂)私は3つだと思います。

(玉川)3つの違い?

(田坂)まず1番目。家庭か国かという根本的な違いがあるんですね。

(田坂)教育にかかわるお金をいったい誰が負担するんだ。

    言葉をかえれば、子どもたちの学力というものをしっかりとある水準まで

    高めてあげるというのは、誰の責任なんだと。

    この部分が根本的に違うんですね。

(玉川)違うんですか?

(田坂)例えば北欧などでは子どもの教育は大学卒業まで無償。

    でも日本の場合にはご存知のように、

    家庭が貧しいとそれだけの理由で大学に行けない。

    それぞれの家庭の経済的な事情に合わせた教育を受けさせたらどうですか、

    という文化が存在しているわけですね。

(玉川)だって現職の文部科学大臣が『身の丈に合った勉強をすればいい』

    というようなことを言ってしまう国ですからね。

(田坂)教育にかかるお金というのは、

    いったい家庭が負担するのか国が負担するのかという一点で、

    根本的な考え方を変えていかなければいけない。

(田坂)北欧はご存知のように、最初から教育水準の高さこそが国の戦略だ

    と思っているんですね。

    だからそういう意味では、国民のごく一握りのエリートだけが育てばいい、

    という考え方はしていないんですね。

    国民全体が非常に優れた学力を持つ、

    人間としての能力を持つことがこの国の未来を開くと思っている

(玉川)では2つ目というのは何ですか?

(田坂)2つ目はですね。競争か自己目標か、という大きな分かれ道ですね。

(田坂)日本という国は、とにかく競争させれば学力が上がるんだと

    思っているわけです。ところが、OECDの研究結果でも出ているんです

    けども、競争を高めたからといって必ずしも学生、生徒全体の学力は

    上がらないという結果が出ている。

(玉川)上がらないんですか?

(田坂)上がらない。競争を激しくすれば全体の学力が上がるというのは幻想です。

(田坂)もちろん競争原理も徹底的にやると、ごく一部の勝ち組といわれる人たちは

    学力は上がりますよ。学力が上がるから勝ち組になるわけですけれども。

    ところが一方でこの競争ばかりを激しくやると、

    そこから勝ち残れなかった人たちは、自己肯定がなくなるんですね。

(玉川)もう負け組になってしまったら、俺はダメなんだと思ってしまう。

(田坂)したがって学習意欲もなくなるし、自分の中に眠っている素晴らしい

    可能性を開花しようとする気持ちもなくなる。

    そういう意味では、競争を激しくすれば全体の学力が上がるっていうのは

    幻想です。

(玉川)勉強が嫌いではなかった人たちに何か共通点があるのか、

    というのは自分なりに調べたんですね。

    そうしたら小さいころから何か学びのタネがあったりして、

    そういうものを親がきちんと見つけてあげて、

    そこで学びがあると褒めてあげるというふうなことを繰り返すと、

    成功体験になって自己肯定感が生まれるんですね。

    勉強は楽しいものなんだと思えるようになる。

    そうなると勝手に自分で勉強する軌道に入っていけるんですね

(田坂)負け組みみたいな構造を作るのではなく、

    誰もが自分の目標を持って、そこに向かって成長していける

    という文化に戻ってくるべきだと思うんですね。

生徒に合わせた指導を行うためには「教師のレベルの高さが必要」だと、田坂氏は言う。

(田坂)教育先進国というのは、例えばフィンランドの場合でいえば、

    教師になるためには修士の資格が必要なんですね。

    しかも教育哲学や教育思想からもしっかりと学んで

    教育のプロとして社会に出るわけですね。

    それがゆえに逆に国民から見れば教育、教師というのは

    尊敬される職業であり、若者のから見るとやっぱり自分もなってみたい

    職業なんですね。

(玉川)憧れの職業

(田坂)何年か前にフィンランドでは600人の教師の募集に対して

    6000人が応募したというくらい非常に人気があるわけで、

    日本も教育というものが、もともと非常に大切な仕事ですし

    それに携わる方々ももっと本当に、子供たちもしくは生徒、学生の

    教育に時間がさける、自身の、教育者としての能力も高めていけるような

    仕組みを作らないと、やはり先進国にはかなわないと思います

(玉川)第3のポイントですけど、これはどうなりますか

(田坂)3番目はですね。あえていえば若年学習から生涯学習ですね。

(田坂)生涯学習という言葉は最近よく使われますけども、

    これをかなり本気でやらないと非常に危ないと。

    というのは人生100年時代といわれるのはありがたいことですけども、

    問題は1つの企業で最初の人生が1つの区切りを迎える。

    そのあとですね。単に最初の第1の人生で身につけたことだけでは

    まったく通用しない社会がやってくる。

(玉川)これから科学技術も加速度的に進歩していくとよく言われていて、

    ということは、世の中が今以上のスピードでどんどん変わっていく。

    ということは、働きだしてからでもどんどん新しい知識、新しい技能、

    新しい考え方を学ばないと、要するに世の中についていけない。

(田坂)まったくその通りですね。

    今までの日本というのはどちらかというと22~24歳くらいまで

    大学もしくは大学院で勉強すればあとは社会に出てとにかく働きなさい。

    単線的だったわけですね。

    教育先進国というのは社会に出て何度でも大学に戻って勉強して

    自分の能力を高めてまた社会に戻っていく。

    今の日本は残念ながら、例えば会社に戻って働いている最中に

    ちょっと休職して大学で勉強してきますといっても、

    まず元の会社に戻ることがなかなか難しい。

    浦島太郎みたいになってしまう例が多い。

    ところが教育先進国というのはそれを堂々と認めている。

(田坂)日本のキャンパスは、世界から見ると少し変わているのは

    ほとんど若者だけ。でも世界のキャンパスというのは結構色々な

    年齢層が学んでいますね。

    そういう社会を作らないと、日本という国は教育後進国というところから

    脱することは難しい。

(田坂)仲間で集まってみんなで知恵を出し合って新しい問題を発見して

    その解決に向かって世界中にある色々な知識を持って活用するような

    アクティブな知識の能力を身につけなければならない。

    今までの大学の教育みたいなものでは全く太刀打ちできない。

    その意味でもですね、新しい生涯学習の在り方、

    どういう教育をするのかということもまた

    大きな課題になってくると思いますね。

きょうのむすび

(玉川)教育が後進国で、その国が先進国であり続けられるわけがない。

    だってね、これ、他人ごとじゃないんです。

    われわれの世代だって最終的には歳をとったら助け合いになって、

    若い人たちの稼ぎで助けてもらわなきゃいけない世代に入っていくわけで、

    「もう、オレ、逃げ切ったからいいや」じゃなくて、

    全員でこれを変えていかないと、

    とてもじゃないけどこれからの変化の激しい時代

    やっていけないですよ。

(玉川)そのために最低限ですよ。

    まずは、「経済格差と教育を切り離すこと」が何よりも大事だ!

(玉川)ここ、まず、とりあえず、とりあえず、ここ!

(羽鳥)でも、ねえ、省庁のトップの人が言っちゃってるんですから、、、

(玉川)ダメなんです。だから、、それじゃダメなんだって!!!

    あの、これ”最低限”です。

    いかに日本以外の国が、

    これからの未来に、

    どういうふうな社会になるかを見据えて、

    そのためにも大事な教育は、って、やってるか、って

    いうふうなことに対して、

    (日本は)いかにやってないか!

    たのみますよ、ほんとに!!

(玉川)そもそも総研でした。

社長のための会計学

【無料メルマガ】

 マトリックス通信

 最新バックナンバー