Vol.501 センスとスキルとMG

先週、東京で開催したMG研修2日目の講義。
次の○○に何が入るのか、ちょっとだけ考えてみて。
 
コスト○○
原価○○
経営○○
○○会計
財務○○
販売○○
人事○○
 
XXさん、いかがですか?
 
「管理だと思います!」
 
そう、○○には「管理」という漢字2文字が入る。
 
管理と聞くと「鉄道」を思い浮かべる
ホームに入るときに自動改札機で管理され、出るときに管理される。
東海道新幹線(JR東海)の車内では車掌が「切符拝見」にくる。
 
検札作業を行う車掌たちは、
「何のために検札作業が必要なのか」
真剣に考えている人はどのくらいいるのだろうか。
 
東北新幹線、山形や秋田新幹線(JR東日本)では車内検札は来ない。
「検札は必要ない」という結論に至ったわけだ。
 
車掌に聞いてみたことがある。
 
改札を通ったときに記録された列車と座席番号が車掌の端末に送られてくる。
「空いている指定席に間違って座っている人にだけ声をかけている」
という話をしてくれた。
 
利用者からすれば、いちいち切符を鞄から出さずに済むし、
何よりも乗客を信頼しているということだ。
 
              ・
 
「ヨーロッパのほとんどの国では
 駅のホームに改札口がないのを知っていますか?」
 
ある企業の社長さんから聞いたことがある。
 
たしかにそうだ。
駅のホームからすぐ道路に出られる。改札はない。
これはどういうことを意味するのだろうか。
 
日本の鉄道は、徹底的に不正乗車を排除しようとする。
それはJRの前身が国だからかもしれないが、
多くの管理手法は、MQを増やすことには結びつかない。
 
「経営管理」は内部に焦点を当てる、という私のイメージだが、
MQは会社の外に焦点を当てている。
利益は会社の中には1円も存在しない。
 
もしかしたらヨーロッパの国々は、
改札の設備にかかる費用や駅員の人件費の合計よりも
不正乗車によるMQ減少の方がはるかに少ないのだろう。
 
改札を取り払う、つまり管理に掛ける費用を減らせば
MQやGは増えるのかもしれない。
 
              ・ 
 
「管理することが経営だと思っている社長たちも少なくない」
 
ある雑誌に載っていたが、
「経営」と「管理」は根本的に異なるし仕事の内容も違う。
 
管理部という部署であれば管理は「担当者」の仕事だ。
仕事だからスキルを身につければどうにかなる。
 
ところが、
 
経営となるとスキルだけではどうにもならない。
 
経営学の講座や研修に参加しようと、
経営学を専門に学ぼうと、どんなに学歴が高かろうと
経営はスキルだけではどうにもならない。
 
そこで経営の「センス」が必要になってくる。
 
スキルを身につけるには、研修やセミナーに参加したり
あるいは独学でも可能だが、
経営センスを磨くための教科書や参考書は存在しない。
 
センスは、専門分野や特定分野において、
知識やスキルを超えたところに存在するはず。
 
              ・
 
経営センスを磨くには、実際にやってみるのが一番だ。
しかし、経営は誰にでもできることではない。
 
MGは、経営の疑似体験をすることで
経営センスを磨くためのツールとなりうる。
(もちろん、本人の意識次第だが)
 
もうひとつは【読書=考える時間】
私にとって読書は考える時間そのものだ。
 
「センスは自分で磨く」
 
ということを自身で自覚し、意識することだと思う。
 
              ・
 
◎今回MGに参加した方々の感想から
 
・MQ会計については本を読んでわかったつもりになっていましたが、
 実際、ゲームを通してMQを考えてみると、想像していたものと
 大きく違った。(製造業社長)
 
・これまで、社長との経営の会話を思い出すと恥ずかしい。(税理士)
 
・財務諸表からは読み取れない多くの意思決定が、
 社長にとっていかに重要か、理解できた。(コンサルタント)
 
・すぐにツールに飛びつくのではなく、
 とにかく自分の頭で考え抜かなくてはならない、
 ということが身に染みた。(税理士)
 
・MG研修に参加してみて自分に経営センスがないことを実感した。(税理士)
 
・「利益とは何か、社員にはなかなか伝わらず、わかっていない」
 なるほど、、、と思いました。
 利益とキャッシュが違うこともわかりやすく伝える必要がある。
 (サービス業社長)
 
               ・
 
社長も税理士もコンサルタントも 
この先の思考展開をいったん整理するうえで「この体験」は役に立つはず。
 

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【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
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