Vol.537 質問に答える、ということ

「質問がある人はどうぞ」

 

その場で手を上げる人はめったにいない。

講義終了後に私のところにやって来て個別に質問をはじめる。

日本人の特性?文化?なのかもしれない。

 

ある日、講義の終盤に質問があった。

ほかの参加者にも参考になるので、質問タイムでの質問は歓迎だ。

参加者の前では勇気がいるが、とてもありがたい。

要約すると次のようになる。


(質問)

建設業(リフォーム業者)のコンサルティングをしている

薄利多売のためQが多い

Fの変動(振れ幅)が大きい

QとFの間に関係はあるのか、知りたい

 

セミナー中は参加者に考えてもらいたくて質問を投げかけるのだが、

これまでのやり取りから、

質問者の「会計知識や経験がどの程度なのか」わからない。

そこで私から質問をしてみた。

 

「中小企業診断士ですか?」

 

違うらしい。

ということは、

管理会計を専門的に学んでいない可能性がある(憶測)。

 

「建設業はMQ会計に最適の業種です」

「未成工事支出金は使っていますか?」

 

・・・

 

「会計ソフトは何を使っていますか?」

 

これに対し、明確な答えはなかった。

ということは、会計には詳しくない、と考えたほうがよさそうだ。

 

質問の中で「Fの変動(振れ幅)が大きい」と言っている。

ということは、Fを何らかの方法で測定していることになる。

このとき、私の「CPU」はフル回転状態。

 

参加者は、

ウノさんの質問はトンチンカンで的外れ、

だと思ったかもしれない。

 

「Fとは具体的に何ですか?」

 

「携帯電話」という返答。

受注件数と電話料金を比較していたのだ。

 

最後の質問、

 

「MGはやったことがありますか?」

 

          ・

 

講義中の質問には2とおりある。

 

講義の内容についての質問と、

今回のように現場で起きている質問だ。

 

講義の内容についての質問は明確に答えられるが、

今回のような質問には安易に答えられない。

その質問の背景がわからないからだ。

「1+1はいくらですか?」に答えるのとは違うのだ。

 

「QとFの間には関係がありますか?」

 

この質問に機械的に答えるならば、

 

「数学的な関係はありません」となる。

 

しかし、ここからが重要な部分。

 

じつは、比例的(数学的)な関係はなくても、

QとFには「とても深い関係」がある。

 

最後の質問、

 

「MGはやったことがありますか?」

(MGに参加してみてはいかがですか=ぜひ参加してほしい)

 

これが、この質問に対する「私の回答」だ。

 

MQ会計は未来を測定するための会計、

計画を立てるときに「QとFの関係性」がとても重要になってくる。

未来への重要な意思決定につながる場合もある。

 

「QとFの間には関係がありますか?」という問いに、

「関係はありません」というコトバだけが、彼の脳に記憶されたに違いない。

 

「QとFの深い関係」は、

MG15期(3回)を経験したころからわかるようになるのだが、

MG未経験者にこの関係を短時間で伝えるのは難しい。

管理会計(CVP分析)にどっぷりつかっている場合にはなおさらだ。

 

MQ会計【特別講義】の中で、

「MQ会計を伝える側の人たち」に向けたメッセージがある。

 

          ・

 

ある公認会計士が「MQ会計」の本を出版した。そこには、

「Gを増やすにはP↑V↓Q↑F↓しかありません。」と書かれている。

PアップやQアップの発想、そして分析事例は会計の分析手法そのもの。

 

「Qの説明」や「Vの定義」が明確に示されないまま、

会計人が考えそうな改善の手法が自慢げに書かれている。

これでは、科学的とはけっして言えない。

「MQ会計ってこんなものか」と思われてもしかたがない内容だ。

 

この本の著者は一度もMG研修を経験していない。

 

何を言いたいのか!

 

MG研修経験の浅い、

あるいは未経験者がMQ会計を伝える側(税理士やコンサルタント)の場合、

会計の領域や発想、感覚から抜けることができず、

机上の話、計算上のQアップの話しかできない。

 

          ・

 

Qは現場の領域です。

 

国土交通省のホームページに、

パイロットになるための受験資格が書いてあります。

定期運送用操縦士(飛行機)、つまり旅客機のパイロットの受験資格は、

21歳以上で総飛行時間が1500時間以上。

 

MQ会計を社長方に真剣に伝えようと思ったら、

MQ会計を伝える側にとって、MG研修は必須科目です。

最低20回(100期)の実地経験は必要だと思っています。

 

税理士やコンサルタントにMQ会計の導入を手伝ってもらうとき

飛行時間(MG期数)は、社長方にとって目安になると思います。

 

  

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 社長のための会計学 マトリックス通信
【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
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