Vol.556 会計情報から未来を見る(その1)


前回の続きです。

 

2024年7月、大阪で「決算書特別講座」を開催した。

決算書を理解したいという社長たちが集まったが、

それぞれ「理解したい内容」が異なる。

 

そこで、簿記の仕組みを、まったく別の話にたとえて

考えてもらうことにした。


商業高校の生徒たちは、

なぜ簿記という技術を身につけることができるのか?

 

「簿記を習う、試験に受かる」

 

という目的(覚悟)をもって勉強するからだろう。

 

簿記とは無縁の社長たちにとっては、

「簿記は経理の仕事、俺には関係のない世界」のことなので、

よほどのことがないかぎり興味を示さない。

たしかに、簿記をマスターしたとしても

「業績向上には直接関係がない」と思うのは自然なことだ。

 

「決算書特別講座」で考えてもらったのがこちら。

https://www.mxpro.jp/vol-556-1

 


簿記ではこのような教え方はしない。

 

簿記を習得してしまった人たちからすると、

「なに?小学生みたいなことをやりだして」と言いたいかもしれない。

「これが何の役に立つの?」と感じる社長もいるはずだ。

 

商業高校の生徒たちも、会計を目指す人たちも、

試験に受かるという目的があるので“この仕組み”を覚える。

しかし、そうでない人にとっては”苦痛”に違いない。

 

小学生は意味もわからず“九九”を覚えるが、

大人になると、やる意味を考えてしまう。

 

会計情報から「未来を考える」ときに必要な仕組みなのだが。

 

私は長年システム開発に携わってきた。

会計ソフト(プログラム)は「加算と減算」しか使わない。

業務ソフトの中でも簡単な部類に入る。

その仕組みが「積み木と電球」だ。

簿記会計がいかにシンプルな構造か、イメージしてもらえたのではないだろうか。

 


会社全体の計画は、会計の枠組みを使って作る。

利益計画(損益P/L)は、エクセルでも作れるが、

これを資金計画C/Sと目標貸借対照表B/Sに反映させるのは、

専門家でも難しい。

 

会計情報の中で、決算書は「完成品」である。

完成してしまった過去の決算書に費やす時間(決算分析)を、

未来の完成品のために使ってはどうだろうか。

 

社長が会計を習得する目的は、

未来を見るための「思考力」を身につけるため。

 

そのためには、自力で計画(未来のB/S・P/L・C/S)を

考えられるよう意識しながら学ぶことだ。

決算書の見方や分析方法、会計の知識は、

 

「未来を考えていく過程」

 

で身につくのである。

 

税理士やコンサルタントの役目は、

社長が自走できるように補佐すること(伴走ではない)。

これでようやく、計画に魂が入るのだと思う。

 

 

次回は、

 

積み木と電球が

 

「なぜ、未来へつながるのか?」

 

(つづく)

 

                ・

 

決算書という一部分ではなく、

全体の流れの中で会計を学んでほしい。

そのための土台、基礎は必要です。

 

『社長のための決算書・会計講座』

 

順次公開していきます。

初回は「決算書の正体」です。

⇒ https://www.mxpro.jp/ac-course/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計

 社長のための会計学 マトリックス通信
【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 メルマガをご希望の方は、こちらからご登録いただけます

 ⇒ 社長のための会計学【マトリックス通信】

 


 < 前の記事へ   次の記事へ >