前回の続きです。
2024年7月、大阪で「決算書特別講座」を開催した。
決算書を理解したいという社長たちが集まったが、
それぞれ「理解したい内容」が異なる。
そこで、簿記の仕組みを、まったく別の話にたとえて
考えてもらうことにした。
商業高校の生徒たちは、
なぜ簿記という技術を身につけることができるのか?
「簿記を習う、試験に受かる」
という目的(覚悟)をもって勉強するからだろう。
簿記とは無縁の社長たちにとっては、
「簿記は経理の仕事、俺には関係のない世界」のことなので、
よほどのことがないかぎり興味を示さない。
たしかに、簿記をマスターしたとしても
「業績向上には直接関係がない」と思うのは自然なことだ。
「決算書特別講座」で考えてもらったのがこちら。
⇒ https://www.mxpro.jp/vol-556-1
簿記ではこのような教え方はしない。
簿記を習得してしまった人たちからすると、
「なに?小学生みたいなことをやりだして」と言いたいかもしれない。
「これが何の役に立つの?」と感じる社長もいるはずだ。
商業高校の生徒たちも、会計を目指す人たちも、
試験に受かるという目的があるので“この仕組み”を覚える。
しかし、そうでない人にとっては”苦痛”に違いない。
小学生は意味もわからず“九九”を覚えるが、
大人になると、やる意味を考えてしまう。
会計情報から「未来を考える」ときに必要な仕組みなのだが。
私は長年システム開発に携わってきた。
会計ソフト(プログラム)は「加算と減算」しか使わない。
業務ソフトの中でも簡単な部類に入る。
その仕組みが「積み木と電球」だ。
簿記会計がいかにシンプルな構造か、イメージしてもらえたのではないだろうか。
会社全体の計画は、会計の枠組みを使って作る。
利益計画(損益P/L)は、エクセルでも作れるが、
これを資金計画C/Sと目標貸借対照表B/Sに反映させるのは、
専門家でも難しい。
会計情報の中で、決算書は「完成品」である。
完成してしまった過去の決算書に費やす時間(決算分析)を、
未来の完成品のために使ってはどうだろうか。
社長が会計を習得する目的は、
未来を見るための「思考力」を身につけるため。
そのためには、自力で計画(未来のB/S・P/L・C/S)を
考えられるよう意識しながら学ぶことだ。
決算書の見方や分析方法、会計の知識は、
「未来を考えていく過程」
で身につくのである。
税理士やコンサルタントの役目は、
社長が自走できるように補佐すること(伴走ではない)。
これでようやく、計画に魂が入るのだと思う。
次回は、
積み木と電球が
「なぜ、未来へつながるのか?」
(つづく)
・
決算書という一部分ではなく、
全体の流れの中で会計を学んでほしい。
そのための土台、基礎は必要です。
『社長のための決算書・会計講座』
順次公開していきます。
初回は「決算書の正体」です。
⇒ https://www.mxpro.jp/ac-course/
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