MQ会計に出会い真剣に研究をはじめたのが24年前、
当初の思い(原点)に立ち返ってみようと、
「利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)」を最初から読み直してみた。
初版は2009年12月、今年で15年が経過した。
この本は、当時私がやっていた「MQ会計基礎講座」がもとになっている。
なぜこの本が出版されるに至ったのか、
この本で何を言いたかったのか、
15年が経過した今だから伝えたいことなど連載してみたい。
MQ会計を語るうえで絶対に外せない基本がある。
MQ会計は“要素法”
「利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)」74ページ以降の
「3.戦略MQ会計は誰でもわかる儲けのしくみ」において、
MQ会計の“5つの要素”を缶コーヒーの事例で説明している。
“M”は要素に入っていない。(76ページ参照)
なぜなら、MQ会計は【数学】だからである。
これを裏付けるのがMQ会計の3つのポイントの1番目と3番目。
1.科学的(科学的でなければ儲からない)
3.平易(中学一年程度)
71ページには次のように書いた。
- この場合の科学的とは「数学的で矛盾がないこと」です。
「数学的要素がどのくらい含まれているか」です。
数学は答えが出るまでの過程がとても重要です。-
このときは“数学的”という表現で曖昧にしている。
“数学”と聞いただけで拒否反応を示す人が多かったからである。
当時の私の研究レベルでは、
これらについて深く掘り下げて書く勇気がなかった。
MQ会計では、なぜ未来を考えることができるのだろうか。
それは数学を使うから。
「3.平易(中学1年程度)」とは“中学1年程度の数学”を意味する。
八百屋さん、魚屋さん、床屋さん、飲食店、卸、小売、サービス、不動産、
そして製造業であれ建設業であれ、どんな業種にでも当てはまる。
数学(=概念)を使って抽象化・一般化しているからだ。
・
税理士、銀行マン、中小企業診断士、経営コンサルタントは、
決算書や会計の知識は持ち合わせている。CVP分析(管理会計)も学んでいる。
ところが、
これらを現場に当てはめどのような方向付けをすればいいのか、
わからない、できない人が多い。
そのために分析手法を習い身につけ、
知識を企業に押し付けようとする人たちが出てくる。
思考の根底にあるのは“会計(決算書)”なのだ。
前回の「第2回・戦略MQ会計の3つのポイント」で触れたように、
会計レベルで作った利益計画(損益計算書)を検証する際にも表れる。
なぜ、計画売上を達成できなかったのか、
あるいは達成できたのか、
これらの重要な課題(問題)に対して
対処のしようがない。
原因を掘り下げることすらできない。
何をしたらいいのか、この先のヒントも得られない。
“限界”を感じつつも他に方法が思い浮かばない。
その理由は、
“科学や数学がない”からだ。
変動損益計算書(CVP分析)、未来会計図表、そして決算書(会計)を使って
いくら分析しようとも、分析手法を駆使しても、その先に糸口が見つからないのは、
会計レベル(会計の思考)で作られているからである。
このような状態が日本では40年以上続いている。
こんなことを続けていても中小小規模企業はけっして良くならない。
もっとたいへん(迷惑)なのは、彼らから助言を受ける社長たちである。
会計の役割・目的は“カネ勘定”、
“カネ儲け(経営)”と混同してはならない。
ではMQ会計は誰がやるのか。
それは企業自身である。
「どうやったらMQ会計を現場に落とし込むことができますか?」
よく質問されるテーマだが、
PやVなどを共通言語に使うなどは初歩の段階だ。
「MQ会計を現場や会議で使って、
社長だけでなく社員も“知的レベルを高める”ことを意識し、
目標にしてほしい。」
知的レベルを高めるには“思考力”を高めなければならない。
思考力を高めるには“中学1年程度の数学力”も、必要だ。
日々の経営や現場をMQ会計(数学)で考え、考える習慣を身につけ、
“社長と社長(経営)を補佐する社員”が一緒になって、
時間をかけて販売実績(MQ実績)や販売計画(MQ計画)を作る。
この“一連の過程”そのもの、
そして、MQ会計で検証をすることによって、
・個人の思考力(数学力)
・応用力(置き換え力)
・想像力(社長、社長を補佐する人は必須)
・創造力(発想力・アイデア力)
が鍛えられる。
知的レベルの向上は、結果的に会社の生産性や業績に反映する。
MQ会計やMG(MQ戦略ゲーム)には、これらが内包されているのだ。
MGは“自分が育つうえで最適である!”と私自身気づいてから、
真剣に取組み、参加者にも体験してほしい、と工夫をしてきた。
MGの参加経験(期数)と自身の能力向上は比例するとはかぎらない。
自覚・強い動機付けが行動につながる。
それに気がつくかどうかは本人次第。
教えて、知識を与えさえすれば、、、そんなことでは思考力は育たない。
未知の世界へ挑戦しようとする社長たちは科学者と同じように考える。
これまで誰もやったことがない未知の領域に進むには、
最後は「やってみないとわからない」。
理屈の上ではできるはずでも、実際にやってみるといろんなことが起きる。
仮説(仮の答え)を立て実験し検証するしかない。
思考訓練、思考実験、数学を使ってのシミュレーションである。
・
次回は「第4回・MQ会計はズバリ数学」、
MQ会計を活用し業績向上につなげられる人と
それなりにしか使えない人の差が、ここに出てくる。
この原稿を書いている最中にかんき出版から、
「利益が見える戦略MQ会計」の重版が決まったという連絡が来た。
2025年9月で第16刷(すり)になる。同時に価格が1800円(税抜)に改定される。
印刷費と紙代が値上がりしているという理由からだ。
なにもかもが値上げ、この国はどこに向かっているのだろうか。
(つづく)
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