Vol.568 第4回・MQ会計はズバリ数学


MQ会計に出会い真剣に研究をはじめたのが24年前、

当初の思い(原点)に立ち返ってみようと、

「利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)」を最初から読み直してみた。

初版は2009年12月、今年で15年が経過した。

この本は、当時私がやっていた「MQ会計基礎講座」がもとになっている。

なぜこの本が出版されるに至ったのか、

この本で何を言いたかったのか、

15年が経過した今だから伝えたいことなど連載してみたい。


第4回のテーマは「MQ会計はズバリ数学」

 

MQ会計を業績向上につなげられる人と、

それなりにしか使えない人の差が、ここに出てくる。

 

前回の「第3回・MQ会計で未来を見るために・・・」で触れたように、

MQ会計を実践するうえで外せない基本が“要素法”。

そして重要なのがもう一つある。

それが146ページからの「第4章・3.利益感度分析で次の一手が見える」だ。

 

「現状(損益状況)をMQ会計で把握しこの先どうするか、

 これを科学的、数学的に考えてみよう」

 

というのが狙いである。

 

・売上は多いほうが儲かる

・原価は下げたほうが儲かる

・経費はかけないほうが儲かる

 

会計や管理会計(CVP分析)では“当たりまえ・常識”だが、

これらに対して、

 

「ホントウですか?」

「これでほんとうに未来が見えるのですか?」

 

という問いかけをしているのが、146ページからの本文。

経営の現場に応用(置き換え)するためのMQ会計の“基本”、

算数で言えば“九九”に相当するくらい重要なページなのだ。

 

ところが、MQ会計の図を用いてわかりやすい文章にしたため、

このページを“数学”だとは気づかずに、

軽く読みとばしてしまう人が多い。

 

              ・

 

管理会計(CVP分析)では、

費用を変動費・固定費に分解し損益分岐点分析を行う。

 

 

 売上高 1000

 変動費  600(変動費率60%)

------------------------------------------------------------

 限界利益 400(限界利益率40%)

 固定費  300

------------------------------------------------------------

 利 益  100

 

 

「この状況で

 売上がもし10%落ちたとしたら

 利益は60になる」

 

 

管理会計の世界ではこれが常識、日本では50年以上続いている。

 

職業会計人も銀行マンも中小企業診断士・コンサルタントも

教科書に書いてあるとおり、習ったとおりに、

疑問を抱かずに、いまだに使い続けているのが現状だ。

これに異を唱える専門家は、ほぼいない、と言ってよい。

 

ここから生まれる発想やアイデアは“算数レベル”、

算数では未来をシミュレーションすることはできない。

 

「第4章・3.利益感度分析で次の一手が見える(146ページ)」を

“数学”という前提でじっくり読んでみると、

中学1年で出てくる“一次方程式”だということがわかる。

 

注)方程式とは、未知数を含む等式のこと。

  「4x-30=10」のような式が方程式、xが未知数。

  一次式とは、文字の次数が1である式のこと。

  「2x」や「-3y+1」などが一次式。

  次数とは、未知数の右上につく数字のことで、

  xは一次、xの2乗は二次、xの3乗は三次方程式となる。

 

              ・

 

次の問題を考えてみてほしい。

 

(問題1)

 ⇒ https://www.mxpro.jp/vol-568-1/

 

では次の問題はいかがだろうか?

 

(問題2)

 ⇒ https://www.mxpro.jp/vol-568-2/

 

 

(問題1)の答えは[Q=23]だがGはちょうどゼロにはならない。

 

ところがCVP分析(管理会計)では、

「利益がゼロになるときの売上高を計算せよ」

という問題が、フツーに試験に出る。

 

利益をちょうどゼロにするには、調整でもしないかぎり不可能。

ちょっと利益が出るか、ちょっと赤字になるか、これが現実なのである。

 

この問題は、MQ会計を使って思考力・応用力を整理する練習も兼ねている。

答えが合っていればいい、というわけにはいかない。

現場ではこのような簡単な問題など、めったに存在しない。

 

数学では途中の過程が重要だ。

 

 82÷9.5=8.6

 8.6 → 9 ・・・ 端数切り上げ

 14+9=23

 

のような計算をしてしまうと応用がきかなくなる。

 

(問題2)は(問題1)の応用である。

(問題1)でMQの基本を身につけてようやく(問題2)が解けるようになる。

 

思考・想像・創造を伴う知的で高度な仕事をするうえで、

社長(経営)を補佐する立場にいる人たちに最低限求められる能力だと思っている。

 

注)巻末に西先生が書いた「特別講座2・初公開!利益感度速算法」が載っているが、

  先にこれをマスターしてしまうとその先応用ができなくなるので注意してほしい。

  MQ会計という思考ツールを使って思考を整理し応用力(置き換え力)を

  身につけるのが先。

 

              ・

 

◎「利益が見える戦略MQ会計」を1~2度読んだ(眺めた)程度では、

 それなりにしか使えない。

◎「知識さえ身につければ使える」と思っているうちは、それなりにしか使えない。

 

次回は最終回、「利益が見える戦略MQ会計」をどう読み解くか。

 

読み方には2通りある。

「既知(きち)の読み方」と「未知(みち)の読み方」。

 

(つづく)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計

 社長のための会計学 マトリックス通信
【発行元】株式会社アイティーエス 
【発行責任者】宇野 寛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 メルマガをご希望の方は、こちらからご登録いただけます

 ⇒ 社長のための会計学【マトリックス通信】

 


 < 前の記事へ   次の記事へ >