Vol.570 それって、ひっかけ問題ですよね


10年以上も前の話である。

「MQ会計・基礎講座」をやっていたころ、

一人の公認会計士が参加してきた。

 

缶コーヒーの話が終わり、

 

「では、この会社の売上高PQが1割減ったら

 利益Gはいくらになるでしょうか?」

 

彼は当然のように自信満々で「60」と答えた。

『利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)』の

88ページに出てくる問題である。

 

解説を聞いていた彼の一言、

 

「それって、ひっかけ問題ですよね」

 

彼の中ではこの問題は、どこまでも“試験問題”。

現実の問題に置き換えることができない。

 

公認会計士や中小企業診断士の試験にも

これと似たような問題が出題される。

そのために彼らは管理会計(CVP分析)を学ぶ。

 

試験では「60」と解答しなければ“まる”はもらえない。

彼の頭の中は60以外に選択肢はないのだ。

 

              ・

 

公認会計士も中小企業診断士も国家資格、国が認めた資格、

試験に合格するためには“受験勉強”をしなければならない。

合格すれば“それなりの知識”は増える。

 

著名な会計人や会計学者が言っていることや、

本に書いてあることは“正解”なのである。

 

問題はその後だ。

 

「勉強で得た知識がほんとうに“正しい”のだろうか?」

「問題そのものを“疑う余地”はないのだろうか?」

 

残念ながら疑問に思う人は少ないと言っていい。

ガチガチの詰め込みで勉強した人ほど「疑問や疑い」を持たない。

知識の詰め込みは、考えるヒマを与えないのである。

 

彼らにとってCVP分析は“単なるツール”にすぎない。

だから、深く考えようとはしない。

“学んだことが100%正しい”と思った時点で考えなくなる。

知識と経験だけに頼ってしまい探求心はなくなってしまうのだ。

 

              ・

 

MQ会計は、これまでの管理会計(CVP分析)に問題を提起している。

私は、MQ会計で得たCVP分析への疑問をきっかけに、

「決算分析・経営分析」について専門書を読み直してみた。

 

すると、

 

これまでは当然だと思っていた経営指標や計算式、

そしてその解説に、次々と疑問や矛盾が見えてきた。

 

「流動比率、棚卸資産回転率、労働分配率」

 

はその代表である。

 

「疑問があってはじめて本質に近づける

 本質に近づくためには疑問や好奇心が必要だ」

 

日々の経営や仕事をするうえでも当てはまる。

 

専門家から言われたから、

著名人が言ったから、

教科書に書いてあるから、

経営塾で習ったから、

 

経営の現場では通用しない、

鵜呑みにしてはいけないことが、多々ある。

CVP分析はその典型と言えるだろう。

 

「経営者は、

 言われた一言で

 運命が変ってしまうかもしれない」

 

ということを、

専門家・経営の助言をする側は、肝に銘じるべきだ。

経営の現場は“生々しい”。

 

              ・

 

経営をサポートしてくれる、

片腕になってくれる社員を育てることは、

社長にとって重要な課題の一つ。

 

断定せず疑問を持ち、

思考力、応用力(置き換え力)、想像(創造)力を持った人間に

育てなければならない。

 

そのためには、

 

“本人自身が自覚するか”が重要なポイント。

 

意識が変わる、

気づく、

そして発見する

 

そのきっかけに“なるかもしれない”2日間がMG研修。

成長しようと思うかどうかは、社長も含めて“本人次第”なのだ。

 

              ・

 

Gを増やすには、

 

1.Pを上げる

2.Vを下げる

3.Qを増やす

4.Fを減らす

 

などと断定している記事を見かけたら、

この人は怪しいと思ったほうがいい。

 

断定しているタイトルのビジネス本も数多く見かけるが、

私は疑ってかかるようにしている。

 

「MQ会計は

 コンサルティングのツールにはなりえない

 コンサルティングのツールに使ってはいけない」

 

「なぜなのか?」

 

別の機会にメルマガで触れてみたい。

 

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【発行責任者】宇野 寛
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