10年以上も前の話である。
「MQ会計・基礎講座」をやっていたころ、
一人の公認会計士が参加してきた。
缶コーヒーの話が終わり、
「では、この会社の売上高PQが1割減ったら
利益Gはいくらになるでしょうか?」
彼は当然のように自信満々で「60」と答えた。
『利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)』の
88ページに出てくる問題である。
解説を聞いていた彼の一言、
「それって、ひっかけ問題ですよね」
彼の中ではこの問題は、どこまでも“試験問題”。
現実の問題に置き換えることができない。
公認会計士や中小企業診断士の試験にも
これと似たような問題が出題される。
そのために彼らは管理会計(CVP分析)を学ぶ。
試験では「60」と解答しなければ“まる”はもらえない。
彼の頭の中は60以外に選択肢はないのだ。
・
公認会計士も中小企業診断士も国家資格、国が認めた資格、
試験に合格するためには“受験勉強”をしなければならない。
合格すれば“それなりの知識”は増える。
著名な会計人や会計学者が言っていることや、
本に書いてあることは“正解”なのである。
問題はその後だ。
「勉強で得た知識がほんとうに“正しい”のだろうか?」
「問題そのものを“疑う余地”はないのだろうか?」
残念ながら疑問に思う人は少ないと言っていい。
ガチガチの詰め込みで勉強した人ほど「疑問や疑い」を持たない。
知識の詰め込みは、考えるヒマを与えないのである。
彼らにとってCVP分析は“単なるツール”にすぎない。
だから、深く考えようとはしない。
“学んだことが100%正しい”と思った時点で考えなくなる。
知識と経験だけに頼ってしまい探求心はなくなってしまうのだ。
・
MQ会計は、これまでの管理会計(CVP分析)に問題を提起している。
私は、MQ会計で得たCVP分析への疑問をきっかけに、
「決算分析・経営分析」について専門書を読み直してみた。
すると、
これまでは当然だと思っていた経営指標や計算式、
そしてその解説に、次々と疑問や矛盾が見えてきた。
「流動比率、棚卸資産回転率、労働分配率」
はその代表である。
「疑問があってはじめて本質に近づける
本質に近づくためには疑問や好奇心が必要だ」
日々の経営や仕事をするうえでも当てはまる。
専門家から言われたから、
著名人が言ったから、
教科書に書いてあるから、
経営塾で習ったから、
経営の現場では通用しない、
鵜呑みにしてはいけないことが、多々ある。
CVP分析はその典型と言えるだろう。
「経営者は、
言われた一言で
運命が変ってしまうかもしれない」
ということを、
専門家・経営の助言をする側は、肝に銘じるべきだ。
経営の現場は“生々しい”。
・
経営をサポートしてくれる、
片腕になってくれる社員を育てることは、
社長にとって重要な課題の一つ。
断定せず疑問を持ち、
思考力、応用力(置き換え力)、想像(創造)力を持った人間に
育てなければならない。
そのためには、
“本人自身が自覚するか”が重要なポイント。
意識が変わる、
気づく、
そして発見する
そのきっかけに“なるかもしれない”2日間がMG研修。
成長しようと思うかどうかは、社長も含めて“本人次第”なのだ。
・
Gを増やすには、
1.Pを上げる
2.Vを下げる
3.Qを増やす
4.Fを減らす
などと断定している記事を見かけたら、
この人は怪しいと思ったほうがいい。
断定しているタイトルのビジネス本も数多く見かけるが、
私は疑ってかかるようにしている。
「MQ会計は
コンサルティングのツールにはなりえない
コンサルティングのツールに使ってはいけない」
「なぜなのか?」
別の機会にメルマガで触れてみたい。
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