テキトー税理士が、会社を・・・

■ある本から抜粋した文章の一部を紹介します。


   例えば、ある企業が前年比125%の売上をたたき出したとしよう。

   創業間もない若い会社には、このような急性長はよくあることだ。

   しかし、たった1年で約25%も会社が大きくなったのである。

   ほかの中小企業がバタバタと潰れているなか、

   生き残っているだけでも立派なのに、売り上げ増。

   すごい。素直にそう思えるケースだ。


   ところが、である。

   売上げ増の一方で、人件費が前年対比135%まで増えていた。

   これはおかしい。

   この会社は、いわゆる"人が資本"の会社だ。

   材料費がかさむわけでも、在庫が余るわけでもない。

   設備投資も必要ない。だったら、人件費が増えた分以上に、

   売上げが増えていないといけないのだ。


   しかし、人件費の伸びが、売上高の伸びを上回ってしまった。

   これは、例えば従業員の数を増やしたぶん、

   売上げが伸びたのはいいが、「期待した以上には」

   伸びていないことを意味する。

   ここに経営助言をする余地があるわけだ。



■この文章、もうすでにお読みになった方もおられると思いますが、

 2009年1月に幻冬舎から出版された

 『テキトー税理士が会社を潰す』

 という本から引用したものです。


 著者は税理士の山下明宏さんです。

 タイトルが面白そうだったので読んでみました。

 「はじめに」には次のように書いてあります。


   ○私は税理士である。

   14年間にわたり、中小企業経営者と共にこの不況と戦い、

   ほとんどの企業を黒字に導いてきた。

   その経験を生かし、あなたの会社も黒字化する。

   これが本書の狙いだ。


   ○しかし、もうひとつ、大切な狙いがある。

   世にはびこる、"テキトー税理士"たちを滅ぼすことだ。

   彼らは、中小企業を食い物にし、破滅させる。

   私は本書を、彼らへの挑戦状のつもりで書いた。


   ○私は正しい税理士の姿を、中小企業経営者に伝えたい。

   そしてあなたの力を借りたい。

   この世から、中小企業に巣くうテキトー税理士を、

   追放してもらいたいのだ。


   ○そう、あなたはまだ、本当の税理士の姿を知らないのである。

   さて、あなたの隣にいる税理士は、どちらだろうか。

   テキトーか? それとも?



  本編もまさに、挑戦状をたたきつけられたかのような文章の連続です。

  ○第1章 中小企業を食い物にするテキトー税理士たち

  ○第2章 業績を伸ばすも落とすも税理士次第だ!

  ○第3章 税理士と筋肉質な企業をつくれ



■ではこの本でいっている「テキトー税理士」とは

 どのような税理士なのでしょうか。

 43ページに次のようなことが書いてあります。


 【(3)たった5.6%のまともな税理士に出会う4つの方法】

  ○なにせ目の前には、まともな税理士は、

   税理士全体のわずか5.6%しかいない、という現実がある。


  ○ここで、まともな税理士の算出方法を紹介しておこう。

   税理士が関与する企業は、全国で240万社

  (国税庁の実績評価 平成19事務年度)。

   そして、日本税理士連合会に登録している税理士は

   7万1000人だ。これをもとに、税理士一人当たり33.8社の

   関与先を持つと仮定する。


  ○一方、税務監査証明書を添付できている企業は13万6800社

  (国税庁の実績評価 平成19事務年度)。

   詳しくは後述するが、「税務監査証明書の添付」とは

   まともな税理士の標準業務のひとつであり、

   テキトー税理士には絶対に不可能なこと。


  ○では、まともな税理士が何名いれば、13万6800社すべてに

   税務監査証明書を添付できるかどうか、というと4047名。

   税理士7万1000人のうち、わずか5.6%、ということになる。



■決してこの本を薦めているわけではありません。

 この本を読み終わって、、 、


 じつは、


 ものすごく複雑な気持ち、、、


 なのです。


 なぜなら、

 この本には

 【確かにそうだ!】と思える部分もあるのです。


 ■メルマガで紹介したところ、多くの方から感想のメールが届きました。


 ●(中小企業社長)

  私は経営者です。この本はすでに読んでいました。

  私が依頼している税理士にはない部分が、多数ありました。

  こんな税理士もいるのか? と驚いた反面、

  冒頭の次の部分についてはいかがなものか? 疑問に思います。

  『私は税理士である。

  14年間にわたり、中小企業経営者と共にこの不況と戦い、

  ほとんどの企業を黒字に導いてきた。

  その経験を生かし、あなたの会社も黒字化する。

  これが本書の狙いだ。』

  そして最後は「祈り」。黒字にするのは決して税理士ではありません。

  私たち経営者の仕事です。


 ●(税理士)

  この本に書かれている「テキトー税理士」という表現については、

  「ちょっと言い過ぎ?」という感じはしますが、

  これくらい言わないと分からないかな、という気もします。

  ただ、TKCがあまりにも前面に出過ぎていて、

  TKCシステムがいかにも「正義」という内容には賛同しかねます。

  でも「なるほど」と思えるような部分も結構ありましたね。

  経営者の皆さんが読まれたのであれば、

  ご自身が依頼している税理士が「まともな方」なのかを

  確認してみる良い機会かもしれません。



■そのほかにもご意見をいただきました。


    ○TKCを前面に押し出し、

   手法を押しつける内容に幻滅。(税理士)

    ○税理士や会計士だけが読む本ではない。

   企業経営者に向けた構成になっている。(中小企業社長)

    ○我々税理士業界に波紋を投げかける良いきっかけだ。(税理士)

    ○私だけが「正しい税理士」、他はみんな「テキトー税理士」。

   TKCの税理士だけが「マットー」という内容に

   憤りを感じた。(税理士)

    ○この本は中小企業の社長が読むべき1冊。

   お客である我々から税理士を教育しなければ

   いつまでたっても「先生」なのかもしれません。(中小企業社長)

    ○税理士のこれからのあり方を考えるのに

   絶好の書だと感じた。(税理士)



■予想外に多くの感想をいただき驚いています。

 ご協力いただいた読者の皆さま、ありがとうございました。

 私がこの本を読んで一番【おかしい】と思ったところは

 次の一節でした。


   例えば、ある企業が前年比125%の売上をたたき出したとしよう。

   創業間もない若い会社には、このような急性長はよくあることだ。

   しかし、たった1年で約25%も会社が大きくなったのである。

   ほかの中小企業がバタバタと潰れているなか、

   生き残っているだけでも立派なのに、売り上げ増。

   すごい。素直にそう思えるケースだ。

   ところが、である。

   売上げ増の一方で、人件費が前年対比135%まで増えていた。

   これはおかしい。

   この会社は、いわゆる"人が資本"の会社だ。

   材料費がかさむわけでも、在庫が余るわけでもない。

   設備投資も必要ない。だったら、人件費が増えた分以上に、

   売上げが増えていないといけないのだ。

   しかし、人件費の伸びが、売上高の伸びを上回ってしまった。

   これは、例えば従業員の数を増やしたぶん、

   売上げが伸びたのはいいが、「期待した以上には」

   伸びていないことを意味する。

   ここに経営助言をする余地があるわけだ。



■これをまとめると


   ○売上高が前年比125%に対し人件費は135%増

   ○"人が資本"の会社では人件費が増えた分以上に売上げが増えていないといけない

   ○これはおかしい

   ○ここに経営助言をする余地がある


 おそらく、

 これまで経験した過去の事例なのかもしれません。

 では、「人が資本の会社」とは

 どんな会社なのでしょうか。


 真っ先に思い浮かぶのが、「会計事務所」なのです。


 この先、事務所拡大のために先を見込んで人を採用した状況で、

 人材投資や教育投資を積極的に行っている会計事務所が、

 「これはおかしい!」といわれているのです。


 もしかして、

 これは、

 税理士への挑戦なのかも、、、

 と、思ってしまいます。



■『あなたの会社も黒字化する。』と【堂々】と言っておきながら、

 この事例には【金額】はまったく出てきません。

 【比率】だけで経営を語っているのです。


 比率重視の経営分析、経営助言は

 税理士である以上

 逃れられない【制約】なのかもしれません。


 はたして、

 この税理士が行う【経営助言】とは、

 どんな内容だったのでしょうか。

 一番知りたいこの部分の記述がないのがとても残念でした。


 経営は【率】ではなく【額】であることを

 もっと多くの税理士の方たちに分かって欲しいと思います。


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