戦略MQ会計の役割と本質

第1回・出版に至る経緯(いきさつ)

 

利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)

の著者が考える「MQ会計の役割・本質」とは


MQ会計に出会い真剣に研究をはじめたのが24年前、

当初の思い(原点)に立ち返ってみようと、

「利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)」を最初から読み直してみた。

初版は2009年12月、今年で15年が経過した。

この本は、当時私がやっていた「MQ会計基礎講座」がもとになっている。

なぜこの本が出版されるに至ったのか、

この本で何を言いたかったのか、

15年が経過した今だから伝えたいことなどブログ形式で連載してみたい。


本になったのは「あるきっかけ」からだった。

この本は出したくて書いたものではない。

当時、かんき出版の編集担当だった藤原さんとの「やり取り(バトル)」を思い出す。

本の大きさはビジネス本では一般的な「四六判 (127×188mm)」の予定だった。

打合せの段階で1行におさめる文字数や1ページの行数などが決められ、

それにそってワードで原稿を書きはじめたのだが、

どこでどう変わったのか「A5判 (148×210mm)」のサイズで原稿を書き続けた。 

 途中で原稿の見本を送ったのだが、

そこでようやくサイズが違うということが明らかになる。

“MQ会計表の図”はいたるところに出てくる。

  「さあ、どうする!」

A5判サイズが結果的によかった。かえって読みやすくなったと思う。


次に問題となったのが「第1章・決算書は経営に使えない!」である。

この章タイトルは、私がMQ会計の講義で当時盛んに言っていたものだ。 

セミナーには職業会計人や中小企業診断士が参加していたので、

「決算書をいくら分析してもこの先社長たちが欲しい情報はない!」

ということを知ってほしくてあえて時間を割いて伝えていたメッセージである。

管理会計(CVP分析)とMQ会計は大きく異なる

管理会計は税務会計の延長線上にある

管理会計で未来を考えるとすぐに限界がくる

過去の決算書をいくら分析したところで未来のことなど何もわからないし、

 会計人やコンサルタントはそこから脱却してほしい

「戦略MQ会計【特別講座】」の冒頭で伝えているこれら問題提起は、

いまも変わらない。


第1章の最後は「税理士の言うことを聞くべからず」である。

編集の藤原さんから「この1章は削除してほしい」と要望が出た。

理由は、決算書や税理士への批判は販売部数に影響する。

ようするに「本の売上が減るからカットしろ!」である。

出版社としては売れない本は出したくない。

あたり前のことなのだが、

この第1章は“私の原点”、MQ会計の研究を続ける“原動力”である。

「この章を削除するなら今回の出版はなかったことにしてほしい」

売れないからといって安易に削除要求に従えない。

今思えば、ずいぶんと強気の発言をしたものだ。


なぜここまで言い切れたのか、

出版にたいして何のこだわりもなかったからである。

どうしても本を出したい、と思っていたなら、

言われたとおり削除したかもしれない。

逆にこちらから伝えた要望がある。

一時的に売れればイイ、のような本は書きたくない

どうせ書くなら“長く売れ続ける本”を書きたい

その場しのぎの技法(テクニック)の本にはしたくない

考えた末に“考え方が重要だ”という結論に達する。

それゆえ第1章は削除するわけにはいかなかったのである。

そして15年間売れ続けることになる。

              ・

第2回はこの本の「第2章・戦略MQ会計のすすめ」からはじめようと思う。

重要なのは“考え方”、

それが70ページからの「2.戦略MQ会計の3つのポイント」に

集約されている。