そもそも生産性ってなに?

 

利益が見える戦略MQ会計(かんき出版)

の著者が伝える「MQ会計と原価計算・パート2」


結論を先に言うと、
半年を過ぎたころ、製造現場から反対意見が出始めました。
 
「このまま言うことを聞いていたら、
 生産性は低下するし、納期遅れが発生してしまいます」
 
コンサルタントから出される宿題をこなすのに、
月のうち3日も4日も時間を割かなければなりません。
 
その時間を製造に回した方がよっぽど生産性があがる!
という、現場の意見だったのです。
 
社長は、せっかく払った報酬を無駄にしたくありません。
しかし、現場の意見を尊重し、
やむなく中途で解約することにしました。
 
うまくいかなかったのは、
このコンサルタントは、自分が体験してきた大企業のやり方を
そのまま当てはめようとしたことでした。
社員60人の町工場が大企業のマネをしてもうまくいくとは思えません。
             ・
この話を聞いて、社長に質問しました。
 
1.「生産性を2割アップする」とは、
  何をもって2割なのですか? 
2.「原価率を3~5%下げる」といっていますが、
  何をもって下がったといえるのですか?
3.「いまの利益の3倍にはなる」の計算根拠を彼は示しましたか?
 
この会社は、原価計算(個別原価計算)を行っていません。
資料にも製品ごとの原価率は載っていないのです。
 
ですから、何をもって原価率を下げるのか、
聞いたところ、直近の決算書の原価率だというのです。
 
決算書ほど当てにならない原価率はありません。
そもそも、決算書に載っている「製品や仕掛品」は、
どうやって計算しているのか、です。
 
「決算書の原価率を下げる?!」
 
まったく意味がない、ということに
社長はようやく気づいたのです。
「社長、生産性って、そもそも何ですか?」
 

生産性をあげるには、、、

多くの製造業では、日々改善に取り組んでいます。
生産性を高めようと努力します。
 
「おれには関係のない話だ」
 
と思った人はもう少し読んでみてください。
 
生産性は、何も工場だけの話ではありません。
事務処理についても同じです。
ところが、経理を含めた事務作業は、
製造業のように作業の工程や成果が見えにくいため、
なかなか改善が進みません。
 
普段から経理や事務部門では「生産性」という言葉は使いません。
経理や事務側から見れば「生産性とは工場の話」、
自分たちとは無縁の世界だと思っているのです。
 
税理士事務所の多くも、事務所自体が製造業であるという認識が薄いため
無駄な処理、重複した処理、工程管理、品質チェックや品質管理など
意識していないのが現状です。
 
☆あるとき、全体会議で社長が言いました。 
 「来年の目標、生産性を2割アップさせる!」
 
どうすれば生産性があがるのか、現場は考えます。
 
生産性をあげるとは、、、
具体的に何をどうすることだと思いますか?